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がんばるわなんて言うなよ草の花 坪内稔典【季語=草の花(秋)】

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がんばるわなんて言うなよ草の花

坪内稔典


坪内稔典が毎日新聞に連載している「季語刻々」を楽しみにしている。

楽しみにしているというか、ふと思い出してふらっと立ち寄る散歩道のような感じですけどね。

このたび、連載のセレクションが『俳句いまむかし』(毎日新聞出版発行、1800円+税)となったのは、うれしいこと。

さて掲句、そんなネンテン先生の代表句のひとつで、『坪内稔典百句』にも収録されているのだが、誰(何)が誰(何)に向かって「がんばるわなんて言うなよ」と言っているのかで、解釈が分かれる句だろう。

作者が知人に向かって言っている、あるいは「草の花」に向かって言っている、などといろいろ考えられるのですが、私の読みは、自分に向かって言っているというもの。

つまり、「草の花」が「作者」に向かって、「がんばるわなんて言うなよ」と言っているという解釈。

まあ、「がんばるわ」というのも、女性的な言葉と、男性的な言葉の二種類が考えられるのですが、後者でとったということですね。

だってさ、「草の花」ってそんなに頑張ってない感じ、するじゃないですか。

だから結局、もし作者が誰かに「がんばるわなんて言うなよ」と言っているのだとすれば、それはもう、ネンテン先生自身が「草の花」だってことですよ。

(堀切克洋)

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