ごーやーちゃんぷるーときどき人が泣く
池田澄子
ゴーヤー(茘枝)は秋の季語だが、大胆に、しかもひらがなで、「ごーやーちゃんぷるー」と打ち出した句はめずらしい。しかし、「ときどき人が泣く」とは、いったいどんな状況だろう? 「人は泣く」ではなく「人が泣く」だから、一般的な人間のことを言っているのではないのだ。しかし調理のためにワタをくり抜かれ、どこか虚になってしまったゴーヤの姿は、満たされない人間の心情とどこかしら響きあっている。『此処』(2020)所収。(堀切克洋)
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