【冬の季語=初冬(11月)】南天の実
【ミニ解説】
実は十月に赤く色づきはじめるため、古くは秋の季語とされていました。いまでは実の色あいや雪との配合から冬の季語になっています。
南天は難を転ずるという語呂合わせから、江戸時代には縁起物として庶民の間に広まりました。
実は赤色のほか、白・黄・紫などがあります。
五音に合わせて「実南天」とも。
【関連季語】南天の花(夏)
【南天の実(上五)】
南天の実に惨たりし日を思ふ 沢木欣一
南天の実ふさふさと影や雪の上 村上鬼城
【南天の実(中七)】
日当たりや南天の実のかん袋 一茶
火山灰の中南天の実のまどかない 尾之上ひろ子
鳥吊つて南天の実の大粒に 岸本尚樹
花と見せむ白南天の実を活けて 依光陽子
老残へ南天の実だけ真っ赤っ赤 黒木俊
【南天の実(下五)】
袋きせて人にも見せず南天の実 誰姿
【その他】
口切や南天の実の赤き頃 夏目漱石
南天のはやくもつけし実のあまた 中川宋淵
水洟やどこも真赤な実南天 波多野爽波