【連載】岸田祐子の「句集ホロスコープ」【#9】『丈夫な紙』山岸由佳(素粒社、2022年)

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【今月の1冊/今月の1句】


汗引いてゆき百年のシャンデリア
『丈夫な紙』山岸由佳
2022年12月28日 東京都・正午
太陽/山羊座、月/魚座、水星/山羊座、金星/山羊座、火星/双子座、木星/牡羊座、土星/水瓶座、天王星/牡牛座、海王星/魚座、冥王星/山羊座


 12星座(サイン)は、その傾向によっていくつかの区分に分類されます。最もシンプルな区分は男性宮と女性宮に分ける二区分です。男性宮は火と風のエレメンツの星座で、自ら積極的に行動し、外の世界に働きかけます。地と水の星座は女性宮で、周囲の環境や感情に反応し内面的な世界を大切にします。『丈夫な紙』は10個の星のうち地のエレメンツの星が5個で水が2個。圧倒的に女性宮の星が多いのです。このことから、内側に深く入ってゆく句集だということがうかがえます。
 星と星のアスペクト(角度)で、最初に気がついたことは金星と水星のコンジャンクション(0度)です。美しいものを扱う金星と言葉を司る水星のタイトな重なり。これは、コミュニケーションがなめらかで知的なことを表します。さらに、この2つの星は山羊座にありますので、しっかりとした手触りのあるコミュニケーションが思い浮かびます。実は『丈夫な紙』は、10個中4個の星が山羊座に入っています。山羊座が扱うものは長い時間に耐えうる丈夫なものですから、タイトルの『丈夫な紙』に通じているのです。もう一つ、金星と海王星のセクステル(60度)も美しい形です。美を扱う金星と夢を扱う海王星のゆるやかな調和を意味するこのアスペクト(角度)は、派手さはありませんが静かな詩情が滲みます。
       汗引いてゆき百年のシャンデリア
 百年のシャンデリアは堅牢な石の建物が似合いそうです。長い時間をかけて積み重なった厳かな空間の中で汗はすーっと引いてゆきます。

『丈夫な紙』のご案内→https://toremoro.sakura.ne.jp/book02

岸田祐子


【執筆者プロフィール】
岸田祐子(きしだ・ゆうこ)
「ホトトギス」同人。第20回日本伝統俳句協会新人賞受賞。


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