
【秋の季語=三秋(8-10月)】秋の虹
暦の上で秋になってから見える「虹」のこと。通常、虹は「夕立」など夏の雨のあとに見えることが多いため、夏の季語となっているが、当然秋になってからも出る。どことなく色合いが淡い感じがするのも秋らしい。やがて冬が近づいて乾燥してくると、虹を見る機会もだんだんと減ってくる。七十二侯では、11月下旬の58候に「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」がある。
【秋の虹(上五)】
秋の虹二川夕浪たてにけり 臼田亜浪
秋の虹ほのくらく樹をはなれけり 飯田蛇笏
秋の虹くぐりて滋賀に濡るるなり 富谷春雷
秋の虹消えたるのちも仰がるる 山田弘子
秋の虹泣いてゐし児が指をさす 水野晶子
秋の虹地球にも輪のあるごとく 長谷川櫂
秋の虹地検帳に天正と記 今井晶
秋の虹森を出づれば消えてなき 青池秀二
【秋の虹(中七)】
助手席にゐて秋の虹まだ見ゆる 安居正浩
【秋の虹(下五)】
びつしりの羊歯の真上の秋の虹 大野林火
ひと色はみづうみの色秋の虹 相川シマ
青磁より眼移せば秋の虹 阿部弘子
手術待つ人と見てゐる秋の虹 三浦久子
めんどりのみな立つてゐる秋の虹 九鬼あきゑ
脱ぎ捨てし靴の放心秋の虹 能城檀
肉体の熟るるは悲し秋の虹 竹岡一郎
缶入りのドロップ振つて秋の虹 松井努
【その他の季語と】
秋の虹見たくて芝を踏む素足 同前悠久子