【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年12月分】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から「(最大)7句」を推薦いただき、掲出するコーナー。全句から、未来の名句となるかもしれない「推しの一句」を選んでご鑑賞いただく読者参加型コーナー「コンゲツノハイクを読む」今月もリリースが遅れてしまったために、2025年1月5日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

*休載期間中に投稿いただきました分については、別ページにまとめました。こちらから→ 【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年6-11月分】


コンゲツノハイク 2024年12月
(2024年11月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「いには」「伊吹嶺」「円虹」「火星」「樺の芽」「銀漢」「櫟」「雲の峰」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「たかんな」「橘」「田」「天穹」「南風」「鳰の子」「ふよう」「ホトトギス」「街」「松の花」「雪華」「楽園」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2024年12月号(通巻180号)>
十三夜パセリつまみてより迷ふ 山口昭男
少年の消えて万朶の百日紅 土井一子
へうたんの前なら兄に会へさうな 高橋真美
やるせなき風船葛置いてあり 鬼頭孝幸
波かたき古墳の水や柿太る 藤井万里
秋晴のバケツに海の匂ひかな 森有沙
旅すれば京都は淋し轡虫 山口遼也


「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2024年12月号(通巻195号)>
秋天やすぽんすぽんと空気入れ 村上喜代子
水を飛ぶ蜻蛉はきつとナルシスト 辻 忠樹
見るからに健康さうな茗荷の子 中村 等
衣被ふいに合点のいくことも 渡辺美亀
秋めくや大野林火の太き眉 斎藤ときは


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2024年11月号(通巻317号)>
秋の夜や小筆の竹に節一つ 河原地英武
露天湯の溢るる闇につづれさせ 栗田やすし
無花果の熟れて薄皮弾けをり 菊地富士子
溺れたる夢にうなされ熱帯夜 井上千保子
噴水や別れ話を手短かに 田嶋紅白
指揮棒のごと髭跳ねて大鯰 加藤剛司
舗装路を蚯蚓ぐいんと伸びにけり 本庄鉄弥


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和6年12月号 第360号>
鍵盤に十指の記憶虫の闇  内藤花六
老松の影を好みし秋の蝶  庵原通子
夕顔の白を生みしはうすみどり  川本一葉
墨つぎの妙んsる古筆秋澄めり  栫玲香
うすべにの小鈴ゆらして秋海棠  加藤葵
ねこじやらしだんだん睡くなる呪文  伏木陽子
秋灯三十一文字の恋の歌  濱田富士鼓


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2024年11月号(通巻1018号)>
遠き家に灯の入りまこと夕花野 山尾玉藻
大波の引くとき星の流れけり 大山文子
花茣蓙の母にとりわけ夕つ風 蘭定かず子
前世より来世の近し衣被 坂口夫佐子
未明より蟋蟀のこゑ終戦日 山田美惠子
熊蟬の世紀末なるごと鳴けり 西畑敦子
立泳ぎの胸へプールの水厚し 湯谷良


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第53巻第5号(通巻570号)>
花野なら降りてみょうか無人駅  粥川青猿
鼻毛から烏賊干す風が侵入す   江波戸明
ただびとに五哀ありけり秋薔薇  鎌田文子
偕老の命を囲む新豆腐     中島土方
同じ事互いに話す秋麗     伊藤妙子
投入れの壺にこぼるる秋の色  松尾一子
貝殻に未練ありげな秋の蠅   山田倫一郎



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2024年12月号(通巻168号)>
耳打ちも人払ひにもこの団扇 伊藤伊那男
銭湯の一人がよひや夕ひぐらし  中村藍人
雁や亡夫の日記見ず捨てず   飛鳥蘭
鶏頭の雨に明るき子規忌かな  武井まゆみ
二百十日蝦蟇の膏を指に塗り  長谷川明子
故郷やことに薄暮の木守柿   竹内洋平
いつまでも女盛りや菊人形   坪井研治


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2024年11月号(通算401号)>
一村は平家の流れ夕紅葉  朝妻力
秋の夜の夢に枕を裏返す  藤田壽穂
石鹼の泡立ちのよき白露かな  浅川加代子
木犀の香や闇降るる鍵曲  小澤巖
昆陽寺に布施屋の名残秋気澄む  酒井多加子
火縄銃に島の往時や水澄めり  冨安トシ子
屋根裏に一斗炊き釜ちちろ鳴く  中谷恵美子


「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2024年11月号(通巻374号)>
極暑より鉄鎖のごとく秋暑し 櫛部天思
手で上ぐる遮断機秋の立ちにけり 中川令
桐一葉落ちしこの世のがらんだう 宍野宏治
香水に今日の機嫌を忖りけり 種谷良二
死に方はプラトンに聞け螽斯 末次朗
逆走の車のごとく雷雨来る 夏目たかし
ニュートリノ脳内とほる熱帯夜 板橋康弘


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2024年11月号(通算296号)>
にいにい蟬のむくろをノート綴じ目に置く 小澤實
見送り絵に常盤御前や義経抱く 児玉史湖
てつぺんに昴や烏賊の入れがかり 森永一正
銀河越ゆ軍事衛星次からつぎ 江藤鳥歩
ざら紙のヘッセ全集曝しけり 鶴見澄子
残暑調伏ピザにタバスコたつぷりと 及川澄
三尺玉花火の爆風吾まで来 上林七菓


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2024年11月号(通巻170号)>
花野来て湯灌のごとく湯にひたる 藤田直子
秋蝶や身から剥がれてゆくことば 石井洽星
沈黙の豊かと思ふ月の客 円城寺順子
銭湯の入り口別れ西鶴忌 三輪真子
しんがりは荷車に乗る秋祭 梅田ユキノ
破れ笠に日の差しこみて稲を刈る 飯倉小百合
桃吹くや白は子の色母の色 大庭あつ子


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2024年11月号(通巻504号)>
枯山水にいちまいの落葉かな  しなだしん
あたらしき光を纏ひ黄の薔薇は  井越芳子
太陽のいよいよ高く蜥蜴消ゆ  水谷由美子
夏の雲湧きて創刊五百号   山本洋子
捨てられぬ子の絵日記や夜の秋  東畑孝子
冬ぬくし園舎に猿の相関図   入部美樹
夏の雲斜めに停まるケーブルカー  ローバック恵子


「鷹俳句会」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2024年12月号>
火口湖のどすんと青し鳥渡る  小川軽舟
山霧のあはひ太陽古鏡めく  奥坂まや
さやけしや釣針はづす魚の口  大井さち子
新涼の私をさがす鏡かな  野本京
黄金比白銀比水澄めるなり  大石香代子
枕辺に初夜の虫籠あをくさき 荻原梗花
星座みな地球を向けり虫時雨  竹本光雄


「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2024年11月号(通巻383号)>
黒牛の四肢より消して霧走る  吉田千嘉子
氷頭膾食むや樺太まなうらに  草野力丸
よろこびの声あげ竹の皮を脱ぐ  岩津必枝
山車を曳くためだけに乗る最終便  野村英利
足組んで風を聴きをり蕎麦の花  村田加寿子
艶々と年季の日焼け網手繰る  佐藤霜魚
捩花の愚直のねぢれ咲きつくす  類家直子



たちばな」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2024年12月号>
虫すだく隠沼に笯を置きに行く 橋本ゆきお
将門の胴塚素風鳴り過ぐる 樋口保
丁度良き棒切れ拾ふ野分晴 松井努
夏の月白く輝き死は一度 久保君江
外つ国へ帰る娘と墓洗ふ 五月女叡子
百年を踏み固めたる土間涼し 小山八寿子
子狐の欠伸の上の赤蜻蛉 髙岩雪枝


「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2024年12-25年1月号(通巻257号)>
右と左の足そつぽ向く暑さかな 真田えい子
栗名月振る尾となりの馬に触れ 佐藤千恵子
戸を開き庭とつながる子規忌かな 笠原小百合
秋草の夜やキューピーのかたき肌 草子洗
座椅子ごと敬老の日の母運ぶ 上野犀行
台風にもらふ一日の休みかな 渡部あさこ
言の葉を重ねては剝ぐよなべかな 赤須治郎


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2024年12月号(通巻322号)>
稲雀里田を覆ふマスゲーム 籠田幸鳴
あかときの微光震はせ草雲雀 塚本一夫
「何でも机」たりし卓袱台秋ともし 福井まさ子
いたづらに描く自画像獺祭忌 藤原基子
クレヨンに匂ひしさうな葉鶏頭 荒木洋子
秋の夜や文箱に妻の通信簿 田中国太郎
松籟は笛の音に似て須磨の秋 坂手広生


南風(なんぷう)」(主宰=村上鞆彦(ともひこ)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2024年12月号(通巻973号)>
眼鏡洗ひ目玉を洗ふ残暑かな 日野久子
蜩や大樹を残し医院閉づ 片岡智子
誰も知らない秋風が舟の上 板倉ケンタ
月明を心に入れて眠りけり 宇野悦耳
夕鵙や朱肉は印に叩かれて 水野大雅
月の客大きな声で泣きにけり 稲葉守大
秋蝶の触れたる花を摘みにけり 佐々木千賀子



「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2024年12月・2025年1月号(通巻69号)>
人の世の油断を突きて毒きのこ 柴田多鶴子
モノローグ託すとすれば流れ星 本土 彰
真っ白な雲が光背墓洗ふ 松本美佐子
涼しさや時に叱られ励まされ 永野壽一
色鳥のひとかたまりに次の森 政元京治
恐竜の飛び出しさうな花蘇鉄 池田和子
浴衣着て素顔やさしき役者かな 太田健嗣


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2024年11月号(通巻117号)>
冬の鵙攻めの鋭声を矢継早  千々和恵美子
彗星のほのと鰯の一夜干  安倍真理子
秋澄める牧場の牛に「お早よー」  藤井さわこ
やや派手も力や秋の旅衣  森 和子
母と子の時過ぎ易し秋ざくら  芝山義和
すぐ消ゆる噂話や鳥渡る  渡辺味蕾
一人居の一人の灯虫の夜  池内祥晴


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2024年12月号(通巻1536号)>
句碑に来て黒南風白へ変りゆく 稲畑廣太郎
水に色溶け出しさうな金魚かな 松村史基
炎帝の掌てふ淡海かな 涌羅由美
先生に雨乞頼みたき日和 酒井湧水
夏雲に一直線にペダル踏む 太田ゆう
しづけさに肉牛育つ炎天下 阪西敦子
都会には都会の広さ盆踊 塚本武州


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2024年12月号>
虫籠の中紫禁城晴れ渡り   今井聖
歯科医師の顔の看板虫時雨  竹内宗一郎
西行の来るゐのこづち数多つけ 松野苑子
蛇穴に入る靴紐は茜色  西澤みず季
メンズ脱毛の幟褪せゆく秋夕焼  末次正
湯に伸ばすアキレス腱や秋の山  西生ゆかり
一列の茸ディキシーランドジャズ 太田うさぎ


「松の花」(主宰=松尾隆信たかのぶ【1998年創刊・神奈川県平塚市】
<2024年11月号(通巻323号)>
カレンダーのイルカへ扇風機の風よ 松尾隆信
支倉忌ルーペを挿む世界地図 渡辺絹江
弓形の浜に佇み遠花火 宮之原敏恵
かなかなかなふいにかなかな奥の院 佐藤公子
よく眠りたる向日葵の蕾かな 興梠隆
ピーマンに肉を抱かせる夕べかな 吉田鐵雄
もらひたる会釈を返し秋の風 鈴木大輔


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2024年12月号>
綿虫無数はやき死をカデンツァで 五十嵐秀彦
青葡萄ステンボウルに映りあふ 鈴木牛後
鰡飛んで夜がきれいに下りてくる 星出航太郎
かげろふの羽ばたきひたすらに輪廻 増田植歌
一斉に卒塔婆を鳴らす雁渡し まるも哲世
豊の秋竹百幹の鳴りどほし 高木宇大
キャサリンは強力粉キティは台風 三谷なな子


「楽園」(主宰=堀田季何)【2021年創刊】
<第4巻第2号(通巻19号)>
腕時計を悲しみながら毛虫焼く 横井来季
ひとごみのわたしもごみでみなみかぜ 土井探花
風鈴や月を凹ます星礫 関灯之介
starica / ispred srušene bolnice / mokro lice(an old woman / in front of a collapsed hospital / wet face) Refika Dedić
まな板で腹を割かれてねえその山女は私なの 叶みちる
新緑の窓ひらく右手より覚め 風蘭
春眠の我が唇は不可侵なり 生倉鈴



【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年1月5日
*対象は原則として2024年12月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年1月10日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/


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