【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年6月分】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」、6月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!


コンゲツノハイク 2025年6月
(2025年5月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「稲」「伊吹嶺」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「麒麟」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「南風」「noi」「濃美」「ふよう」「ホトトギス」「街」「雪華」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年6月号(通巻186号)>
我を見る窓の女や啄木忌 山口昭男
指先に湖の弾力麦の秋 土井一子
ガリレオのさいごのことば菖蒲の芽 山口遼也
篳篥の楕円の穴や地虫出づ 松田晴貴
梯子見え屋根替の人見えて来し 橋本小たか
先ほどの人が戻り来植木市 水野大雅
オムレツをとろりと開く春の雪 小濱准子


「稲」(主宰=山田真砂年まさとし【2021年1月創刊】
<2025年5月号(通巻28号)>
自然薯に玉子を添へて寒見舞  小見戸実
富士を見し体まはして御慶かな  大坪正美
舞ふ人の耳たぶ赤し初神楽  飛田小馬々
電柱のポスター剝がれ雪催  上田信隆
冬ざれや御堂の隅に赤バケツ  滝代文平
ねんごろに佐渡の田返し朱鷺飛べり  原田白鷗
白菜三株積みし自転車すいすいと  浜田優子


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年5月号(通巻323号)>
押し合ひて少しかたむく供養雛 河原地英武
ゆつたりと櫓を漕ぐ音や水温む 栗田やすし
ウイルスのスコンと抜けて風光る 菊地富士子
白魚を箸に摘まむや震ひける 加藤剛司
豆の葉の雫舐めをり恋の猫 武田稜子
家中を灯して雨の雛まつり 下里美恵子
押入れの奥より雛の息づかひ アワンきえ


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年6月号 第366号>
朝の日の影生まれゆく落椿  水野繫勝
拾ふではなく摘む心地落椿  石戸菜々花
車座の男の子三人山笑ふ  堀 マサ子
鋭角を競ひあひたる蘆の角  毛利律子
空泳ぐイルカの親子春の雲  奥本恭子
ビバルディー聴きつつ春の厨ごと  乾まりよむ
涅槃会や念仏衆の頭ゆれて  西川とし子


「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年5月号(第68号)>
雑居ビルの注連縄蒼く月のぼる 大西健司
雪富士のみえるベランダ産着干す 小林育子
開戦日最前列の椅子が空く 三枝みずほ
沈黙のカウンセリング梅一輪 塩野正春
御降りや青人草のわたしたち 遠山郁好
風花は途切れ途切れの暗唱です 宮崎斗士
詩篇みな紙片に変えて冬青空 望月士郎


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年5月号(通巻1024号)>
春愁や槽の海月が弧をえがき 山尾玉藻
仏具屋の春日返せるものあまた 大山文子
手袋の自在の指にある不安 湯谷良
薪小屋へかよふぬかるみ春隣 蘭定かず子
薄氷を踏む音をまた踏みにけり 高尾豊子
ひたすらに不協和音の蜂と蜂 山田美恵子
琅玕に風をよびたる絵踏かな 高松由利子


「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年5月号(通巻1145号)>
連歌所の裏へ回れば下萌ゆる 森田純一郎
鳥雲に翼を持たぬ風見鶏 平田冬か
けふ下堂なさる僧待つ春ショール 村手圭子
霜柱吸ひ寄せらるるごとく踏む 黒岩恵津子
冬の虹誰にも告げず逝きし人 吉浦 増
宍道湖や雪の大山どこからも 森田教子
初句会住職と医師隣り合ふ 清水寿恵子 


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<樺の芽第54巻第6号(通巻583号)>
雛壇のうしろに眠る暗い沖   粥川青猿  
軋みだす年季の隙間薄暗く   江波戸明
春眠し新聞活字が棒になる   高橋民女
鍵盤に指先深く春夕焼     岡島貴子
最終のプラットホーム名残雪  須田としお
入口の灯されてゐる涅槃かな  道下いずみ
綾取りの塔のてっぺん風光る  岩佐勢津子


「麒麟」(主宰=西村麒麟)【2023年創刊・東京都江東区】
<2025年春号(通巻9号)>
ややあつて一つ鳴きたる初鴉 伊東夏生
凍蝶の確かに笑ひかけくれし 山本たくみ
ストーブにただ笑ひ合ふ五人の手 大和田美信
二人してぜんぜん釣れぬ二日かな 遠藤史都
目の大き鹿島の鹿や冬の旅 田中木江
三山を諫めし神も旅姿 二見京兎
寒天の叫びはジェットコースター 吉川あかし



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年6月号(通巻174号)>
酒断ちし身にもしみじみ蜆汁 伊藤伊那男
運針の大波小波真砂女の忌   本庄康代
諏訪の湖ちかき宿りの洗鯉   谷口いづみ
酔筆の墨は濁らず井月忌  有賀理
春愁や語尾濁さねばならぬこと  笠原祐子
佐保姫に出迎へらるる籠りの僧  谷岡健彦
野遊びやまだ温もりのにぎり飯  竹内洋平


「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年6月号(通巻321号)>
亀鳴くを聞きたし補聴器は高し 平野周子
蟇すでに旧知の顔である 高木宇大
比良八荒アロエの花の犇きぬ 岡野美千代
茎立や上手にできてピルエット 玉木まさ代
陽炎のなかにバス停錆びゆける 三村凌霄
パクチーと三つ葉が並び売られ遺憾 空井美香
仔馬生る前足の出て頭出て 荒木久美子


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年5月号(通算407号)>
青石に刻める一句花吹雪く 朝妻 力
さげもんや二胡の奏者の春袷 岡山裕美
靄込めの底ひに沈む春の牧  福長まり
物忘れてふ魔物居るらし春の宵 船木小夜美
砂場てふ明るき器風光る  遠藤 玲
春風や村に二人の釣り天狗 渡部芋丸
日を置きて一段づつの雛納 金子良子


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年5月号(通巻302号)>
浜砂の潮にしまる寒さかな 小澤實
舞台終へ次の稽古や日脚伸ぶ 仲白良
畦焼果てし畦にへたばる疲れ果て 竹岡たつ子
羽根ばたき掛け雛納め羽根ばたきも 大木由美子
タイヤブランコにひしめき乗りや五人の子 片岡昌子
タコ型滑り台脚四本や鳥雲に 藤原琴音
桜餅ありますの字に朱墨の丸 山下希記


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年5月号(通巻176号)>
聖路加の乙女らに芝青みたる 藤田直子
せめぎ合ふ畦の火の神風の神 市川和雄
鬣を青く描いて卒業す 山田蹴人
つちふるや別れに贈る唐詩選 杉田友野希
開発の始めは奪ふ夕雲雀 円城寺順子
サテン靴天袋より出して春 藤田るりこ
春の日を遮り切れぬ文庫本 河瀬久美


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年5月号(通巻510号)>
大輪にしてくれなゐのチューリップ   山崎ひさを
新緑の水面へ櫂を刺し入るる   しなだしん
月しろに応へたかぶる川の音  井越芳子
掘り返す花壇三寒四温かな  水谷由美子
みづうみに桟橋のあり三光鳥  坂東文子
まづ紙の白さと対す筆始  ローバック恵子
富士塚の頂上よりの初景色  南井俊輔


「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年6月号>
開け閉てに響く木の家沈丁花  小川軽舟
生きて着る服の数ほど蝶生る  布施伊夜子
遖(あっぱれ)の富士の朝日や結氷湖  甲斐正大
透けてゆく会議の席の新社員   宮本素子
先に先に行きたがる犬蜃気楼  三橋三枝
早蕨や窓開け入るる川の音  伊澤麻利子
渡さるる風船を咄嗟に拒む  作田きみどり


たちばな」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年6月号(通巻570号)>
一途なる伽那久羅虫や涅槃西風 大久保和生
足跡をのこし貝母を離れたり 山口風樹
海鳴りの間垣の里や春の雪 野村のり恵
嘘少し混じる言訳春の雪 渡辺浩子
塩パンの昼餉や土手の桜二分 神澤實枝
伴走のきづなの距離や風光る 坂口朋子
夕東風やとんと叩きて米袋 小池節子


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年6月号(通巻328号)>
好奇心持てば長生き山笑ふ 佐々木建成
こんにやくの手綱結びや花の宴 山口美智
花魁めく鯉の尾鰭や水温む 籠田幸鳴
被爆桜もはや片袖のみとなり 米田由美子
啓蟄や呼び水を足すポンプ井戸 渡辺花穂
伴をして東下りの古雛 田嶋しゅうじ
夫までも先祖のひとり入彼岸 両角三佐子



「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年6月号(通巻979号)>
啓蟄の土留の竹のひかりかな 中村幸子
枯れゐたる藤棚の上の雲雀かな 若林哲哉
沈丁とうすうす思ひながら過ぐ 板倉ケンタ
並走の電車汚れて卒業す 延平昌弥
花筵お昼を吐いて今は寝て 大熊光汰
初ざくら家じまひとて通ふみち 陰山 恵
眼裏のましろき桜並木かな 帯谷到子


「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年5月号(通巻1号)>
額こそ汝が日記なれ風花来 永山智郎
みぞれみぞれ詩を書ききるに要る吐き気 難波朔矢
ガムを噛む誰の冬日も損なはず 山月 恍
はこべらの野に抱きあへば崩るる陽 いずみ令香
バナナ食む昼もそのままナイトブラ 木田智美
飛花ったり落花ったりもする国だ 斎建大
また泣かれホワイトデーの雲でけえ 広瀬康


「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年6月号(通巻195号)>
水買うて荷の重くなる青葉行 渡辺純枝
守宮啼く独りに広すぎるベッド 関谷恭子
高校の消えゆく町や春の雪 臼井英三
二ン月の火曜なんでも出来さうな 中川富雄
口ひらく皹痛し母恋し 大森陽香
うららけし木洩れ日拾ふベビーカー 清水幹子
春暁や雀の覚むる鬼瓦 杉浦とし子


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年5月号(通巻123号)>
笙の音に篳篥に花惜しみけり  千々和恵美子
桜の夜言葉がひとつ見つからぬ  安倍真理子
立つて漕ぐふらここ無限なる未来  芝山義和
花の世に生まれ出たる双子かな  村上智恵子
あたたかし桜の色の登城券  諌山恵子
姉ちやんが登校班長一年生  米田和徳
ほどほどに退つて仰ぐ糸桜  池内祥晴


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年6月号(通巻1542号)>
花蜜柑虚子も歩みし山路かな 稲畑廣太郎
橇加速上半身は置き去りに 荒井桂子
春立つやイヤホン外し出勤す 伴統子
節分の宿直鬼になりにけり 荒川裕紀
パスタ茹でて二人の未来春の雨 竹岡俊一
冬至の日南中高度勉強す 藏本 翔
竜宮の庭彩りし若布やも 葛原由起


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<NO.173>
五体搔き集めて春の街に出づ    今井聖
しやぼん玉消えて子どもが残りをり 小久保佳世子
ベッドから手の垂れてゐる朧月   柴田千晶
二人づつ組む春昼のストレッチ   半澤登喜惠
猫をばさん鴉をばさん露地うらら  木村厚子
水仙の咎めるやうな白さかな    杉山文子
燕来る白髪混じりのゴリラの背   穂阪幹子


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年6月号>
松葉独活炒め卒塔婆のやうに置く 島崎寛永
北国のなほ北に来て鶴の舞ふ 籬朱子
いそぎんちやくひと日窄んで過ごしけり 高木宇大
朧夜の影は水面を縫ふやうに 村瀬ふみや
ふる雪や他郷に五十年を経し 井口寿美子
雪月花三種混合せし世代 まるも哲世
四月馬鹿ポンデリングを首に巻き 梨山碧


【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年6月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年6月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年6月25日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年6月30日
*対象は原則として2025年6月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年7月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/

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