前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。
また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」は、10月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!
コンゲツノハイク 2025年10月
(2025年9月刊行分)今月の参加結社☞「秋草」「いには」「伊吹嶺」「稲」「炎環」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「銀化」「銀漢」「雲の峰」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「たかんな」「田」「天穹」「南風」「noi」「ふよう」「ホトトギス」「街」「雪華」
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年10月号(通巻190号)>
瓢箪のその曲線の野心かな 山口昭男
玉葱を吊つて会ひたくなりにけり 舘野まひろ
一線を越えし胡瓜でありにけり 高橋真美
ひざまづくならばたうもろこしの花 小鳥遊五月
吉原大門朝顔の鉢かかへ 小濱准子
津軽三味線教室の百日紅 村上瑠璃甫
泣く声を夾竹桃に置き去りに 水上ゆめ
「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2025年10月号(通巻205号)>
白玉や老いてしみじみ母の老 村上喜代子
蒟蒻咲き曲折の過去思はしむ 大久保文夫
顔寄せて金魚はきつと噂好き 辻 忠樹
生きてゆく意味など問はず水母浮く 堀合優子
土用太郎髷に砂付け勝ち名乗り 宇田耕子
「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年10月号(通巻328号)>
取り落す熱き布巾や敗戦忌 河原地英武
片陰を出づれば細き己が影 栗田やすし
玄関に知らぬ白靴雨の音 田中のびる
身の丈は百万センチ入道雲 加藤剛司
擦り足の能楽師めく黒揚羽 野村和甚
あめんぼの力溜めてはまた進み 伊藤みつ子
婆ちやんと小さき私ところてん 酒井伸代
「稲」(主宰=山田真砂年)【2021年1月創刊】
<2025年9月号(通巻第30号)>
天竜川涼し欸乃一声波しぶき 北原昭子
風知草朝の陽射しののびやかに 今村博子
山開きこよなき鳥の声が降り 小見戸 実
卯の花腐し線路のバラス赤茶けて 滝代文平
芍薬やくしやくしやほどけ蕊あらは 安藤裕子
地上げ屋の目こぼし路地や神輿ゆく 高田 峰
補聴器をはづし車窓の春の山 藤巻佳子
「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2025年9月号(通巻543号)>
石ひとつ抛れば消ゆる海霧の島 石寒太
つややかや緑蔭に入る黒ベンツ 大地緑
ががんぼや眼鏡の傷の夥し 百瀬一兎
壁紙に「殺すな」の文字かなぶんぶん 丑山霞外
名をつけし小石ならぶや水あそび せきみちこ
癌告知夾竹桃の迫り来し 市ノ瀬遙
しんがりの猫は猫なり楸邨忌 安田勝彦
「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年10月号 第370号>
老鶯に目覚め余生のまだ多忙 若林柾矢
大暑とて耐へねばならぬ日の一つ 平野幸久
一点のかげりなし嗚呼日の盛り 宮地若木
ナイターの延長戦に臨時便 小林希素子
少しづつ色づく稲穂風うけて 若林八重子
東京の蜜豆ちよつと高級で 大西桃李
夕端居思ひの外に話好き 上羽聡子
「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年9月号(第71号)>
花みずきお嬢様にはお母様 有栖川蘭子
十薬の白から明ける夜の治癒 遠藤路子
ヒヤシンス理科室はすぐ昏くなる 河西志帆
風船をみんな見上げて軽くなる 小松敦
指切りに時効のありて蛇苺 竹田昭江
限界集落はつなつという淋しさよ 田中信克
ペラペラのケーキのフィルム夏浅し 向井麻代
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年9月号(通巻1028号)>
衣更へていろんな影を踏みゆけり 山尾玉藻
葭切へ下船の傘を開きけり 大山文子
箱庭の勾玉ほどの池の照り 蘭定かず子
はんざきの石抱へ込む月あかり 湯谷良
仙人掌咲くほつたらかしのまくれなゐ 西村節子
日差し操り川狩の胴長靴 五島節子
発つ鷺の脚の曳きゆく夕焼かな 坂口夫佐子
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年9月号(通巻1149号)>
蝸牛太古の森に角を出す 森田純一郎
名乗り上ぐかに次々と木々芽吹く 平田冬か
夜汽車涼し国原の闇突つ走る 村手圭子
薔薇を嗅ぐその横顔を見つめをり 堀康恵
仮面売る店の女のサングラス 難波正行
天才はやはり長髪風薫る 宮崎こうや
難波橋青畝夜半の見ぬ夕焼 北浜ゆみ
「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第10号(通巻587号)>
蹄鉄の爪焼く匂い夏の雲 粥川 青猿
甲虫の鉤爪にあるノスタルジア 江波戸 明
蜘蛛の囲の必ずにある破綻の緒 鎌田 文子
皇は読みがたき文字終戦日 中島 土方
キーボード一指沈める原爆忌 岩佐 勢津子
米びつの底うつすらと朝曇 道下 いずみ
瞑捜の顔がいくつも木下闇 小宮 富子
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年10月号(通巻178号)>
黒南風や鱗張り付く厨窓 伊藤伊那男
白樺の傷あたらしき晩夏かな 小野寺清人
直角のものしか置かぬ夏座敷 塚本一夫
相槌の間に間に痩せる氷菓かな 中島凌雲
二上山を転げ落ちしかはたた神 西田鏡子
薪積み終へしみちのく盛夏かな 武田花果
落し文神籤のごとく開きけり 西田鏡子
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年10月号(通巻325号)>
とく来ませ短夜なればなほのこと 松王かをり
蔵涼し秘蔵のものの特になく 田口武
打菓子の角をきりりと秋に入る 坂上佐久良
七夕や梲にあたる雨の音 後藤田潤子
百日の花のマラソンさるすべり 麻香田みあ
ひぐらしや懺悔のやうに床を拭く 川那部乃生
不老不死もゐさうぢやないか水母なら 阿南さくら
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年9月号(通算410号)>
たなばたやアラビア文字に墨香る 高野 清風
一日を忘じて仰ぐ月涼し 冨安トシ子
梅を干す日差し味方に引き入れて 越智千代子
車椅子借りて涼しき診察日 阿山 順子
黒南風や榴弾砲が海を向く 木原 圭子
夫逝きて相槌の無き梅雨入かな 小見 千穂
白靴を履きて万博一万歩 中尾 礼子
「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年9月号(通巻306号)>
杉阿弥陀堂冷えし鍵開け待ちくれたる 小澤實
夏空へ足場板上ぐウインチ巻き 笠井たかし
湯の花トンネル空襲犠牲者御霊安かれ青時雨 石田秀子
たれ焼きのレバーの照りや西日中 松井宏文
面布取る弔問客の額に汗 井沢洋
ジャスミンティ唇に氷のふれてをり 酒井拓夢
貸ボート転職を二度して二十歳 橋郵夏
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年9月号(通巻180号)>
夏果の泡ひとつ浮く神の池 藤田直子
倒れこむ象に炎暑の土煙 永田満徳
人類のあと夏草の押し寄する 後藤信雄
脳みその暴走防ぐ冷や酒 真木康守
梯梧赤く赤く戦後八十年 山崎崇世
青葡萄シルクロードの露天市 川面忠男
鮎釣の昼餉の間にも流れ見て 平野暢行
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年9月号(通巻414号)>
湖に風出て封筒色の梨 しなだしん
冬の雨音立ててゐてしづかなり 井越芳子
紫陽花を振れば雨降る音となる 水谷由美子
をなもみを投げ合ひ幼馴染みかな 入部美樹
鳴く虫と聞き入るわれとひとつ闇 坂東文子
篆書にて刻む大学名涼し ローバック恵子
折紙のほどけるやうに菖蒲咲く 細野和子
「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年10月号>
海自身球体思ふ白夜かな 小川軽舟
七堂の焦げ臭きまで蟬の声 桐山太志
グレタさんのうしろで林檎齧りたし 南十二国
金魚飼ふ何でも捨てたがる妻と 大野潤治
サンドレス年寄ぶらず若ぶらず 安東洋子
蜩やドラマさらりと十年後 中野悠美子
採寸を足袋屋まかせの涼しさよ 大岡吉一郎
「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2025年9月号(通巻393号)>
まなうらへ蛇は全長残し過ぐ 吉田千嘉子
あぢさゐのあやふき重さ剪り抱ふ 難波政子
空耳と思ふ水音水中花 小泉靜子
朝顔のひらくしづけさ耳を射る 庄司紀野
しばらくは葉の色染むる雨蛙 宝美佐子
安東の裔か声よきしじみ売 南美智子
噴水の穂先夕日の豊かなり 池上美海
「橘」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年10月号(通巻574号)>
浮雲点々下を今から墓参 髙良満智子
親しげに蟻が首ふり穴に入る 飯野歌子
恋雀下町の混む電線に 若林朝子
雪渓や腰の辺りに雲の棚 真保ユキ子
夕風に座り母と子神輿待つ 植田陽子
靴の音白夜の中へ遠ざかる 神作紫苑
朝曇句集に夫のめくり癖 野口久美子
「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2025年10-11月号(通巻262号)>
鼻高き旅人の列街薄暑 真田えい子
強面をゆつくりはがすサングラス 仲 栄司
大気ごと剝がしたくなる猛暑かな 伊東慶子
白靴の汚れてよりは大胆に 松村敏子
堂々と錆びて泰山木の花 佐藤千恵子
松を背に富士山を背に海開 毛塚尚男
再会にりりりと回るアイスティー 岳田和奈
「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年10月号(通巻332号)>
雲の峰昭和に高度成長期 佐々木建成
天声も人語も聞かで昼寝かな 立道すみ女
九番でライトわが子の夏旺ん 田中国太郎
藤原三代の願文かとも落し文 渡辺花穂
遠泳子へ舟をはみ出す嗄れ声 斉藤雅はる
ヘラクレスてふ叔父さんの兜虫 吉仲 静
炎帝も止め得ぬ人出浅草寺 野末一郎
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年10月号(通巻983号)>
とはに弱き雨降る如くあめんぼう 板倉ケンタ
夕凪やポップコーンに味せぬ粒 若林哲哉
お礼言ふさくらんばうの軸咥へ 中村幸子
あけぼのの空へ天牛木を離る 土井常寛
夏館ゆさりと孔雀おりて来し 卯月紫乃
語り部につぎつぎ挙がる日焼の手 稲葉守大
身に入むや液晶に巣のやうに罅 野村茶鳥
「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年9月号(通巻5号)>
起こさないようサイダーの蓋開ける 橘あかね
虹の根にいます死なない鳥と一緒です 植 朋子
蛸揉んで我れも出アフリカの裔 陰山恵
寂光の淵を鯰の髭の先 藤田かをる
ペン立てに紙飛行機を挿す夜涼 友定洸太
虹が出てをります清き一票を 佐藤五日
兵士にはなりませんともアロハシャツ 梶浦道成
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年9月号(通巻127号)>
五色沼秋の初風楚々楚々と 千々和恵美子
今立てる歩ける療法士も汗 貴田将子
一滴の雨が葉先へ秋来たる 安倍真理子
尺獲の途方にくれてゐる時間 大里えつを
浮かびては消ゆる言の葉明易し 明石和夫
停泊の豪華客船夏夕日 宮﨑賢治
面に汗親子三代玉竜旗 堺 久芳
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年10月号(通巻1546号)>
街路樹を膨らませたる小鳥かな 稲畑廣太郎
麦笛の口に熟れたる香りかな 荒井桂子
麦笛に五時のサイレン呼応する 伴統子
夏至の日の町ほつほつと灯りそむ 進藤剛至
新しきレシピ挑戦母の日に 藏本翔
更衣雨の社も軽くなり 荒川裕紀
一面の植田に小雨降り続く 伊東法子
「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<NO.175>
交番に風鈴本日事故死一 今井 聖
畦道に己が影おく出穂期 寺田達雄
万の武器埋まるやバナナの樹の下に 森島裕雄
水打ちぬ受動態なる人生に 横山香代子
万緑を弾く眼力青蛙 安藤尚子
揺れながら片足で立つ更衣 金丸和代
逝く夏の観光しない観光地 北大路翼
「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年10月号>
踊りの輪もうひとつ外に見えざる輪 橋本喜夫
ラムネ飲み干し永遠を充填す 五十嵐秀彦
海の日の壁に蝦夷地のなき古地図 増田植歌
黄色の花は向日葵しか描けず 三谷なな子
生者にも死者にも序列盂蘭盆会 星伸昭
捩花を捩ぢ切りし手で投票す 鈴木牛後
火蛾の死を掃き寄せ朝の乾びゆく 柊月子
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年10月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年10月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年10月25日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年10月31日
*対象は原則として2025年10月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2025年11月5日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/