「鳰(かいつぶり)」の子。歴史的仮名遣いでは「にほのこ」。
「鳰の巣」=「鳰の浮巣」は、夏の季語。アシの間などに作られ、それが水に浮いているように見えるので、和歌などでは、よるべないあわれなものとして詠まれてきた。
潜ることにも慣れていないような鳰の子を見ていると、じつに和む。
【鳰の子(上五)】
鳰の子の親の真似して潜りけり 正岡子規
鳰の子が親の水輪の中にゐる 水原秋櫻子
鳰の子の三つあつまり笛を吹く 山口青邨
鳰の子が一つ遊ぶはわれに似て 安住敦
鳰の子をしのつく雨に見失ふ 上村占魚
鳰の子に淡海の靄のまだ晴れぬ 鷲谷七菜子
鳰の子に夕さざなみの万遍なく 岡本眸
【鳰の子(中七)】
あまり小さき鳰の子なれば可笑しけれ 松本たかし
【鳰の子(下五)】