
【春の季語=初春-仲春(2月-3月)】野焼
土地の維持管理を目的として山野を焼き払うこと。起伏の激しい土地であれば「山焼」となる。
野焼は古来より焼き畑を行い農地をならすために、近年では山火事の防止、生態系の管理などを目的として行われてきたが、現代において農業では、大気や土壌の環境を悪化させ、健康、経済や生物多様性に害をもたらす慣習として認識されており、各国において禁止が進む動向にある。季語としては「野焼」と「き」を送らないことが多い。

【野焼(上五)】
野焼又雨に日延べやよくも降る 高野素十
野焼燃え尽きし煙の下歩く 廣瀬直人
【野焼(中七)】
哺乳瓶洗ひ野焼の灰つきぬ 波多野爽波
ペン置くや暮れて野焼の火の残る 石川桂郎
潮騒に野焼のあとの星を生む 林田紀音夫
半鐘を打つて野焼の始まれり 太田土男
ひと焼きし顔に野焼きの火が動く 角川春樹
ぼんやりと見れば野焼の煙とも 生駒大祐
文明や野焼を遠くキスをして 坂入菜月
【野焼(下五)】
沼波の侵触ゆるす野焼あと 岡本眸
火の中に草立ち上がる野焼かな 亀井雉子男
あつまれば昔のやうに野焼かな 田中裕明
ぬけがらの何処かで燃えている野焼 近恵
【その他】
野焼のごとく死者の煙のごとからず 斎藤玄