【夏の季語=三夏(5月〜7月)】扇
仰いで風を起こす折りたたみ式の道具。「扇子」ともいう。
歴史的仮名遣いは、やや、ややこしくて「あふぎ」。
立秋後の扇は「秋扇」となる。
【扇(上五)】
まづ扇使ふことより落著きぬ 稲畑汀子
【扇(中七)】
あふぎやる扇の風をほほ笑まれ 阿波野青畝
旅鞄あけて扇を出しにけり 野村泊月
関取の小さき扇を持ちにけり 村上鬼城
胸を匐ふ蟻を扇で掻き落す 山口誓子
颯々と遅参の扇つかひけり 上田五千石
買うて来し扇を母がよく使ひ 山本たくみ
【扇(下五)】
あやまつて清水にぬらす扇哉 正岡子規