【秋の季語=初秋(8月)】山椒の実
【解説】
山椒は、ミカン科サンショウ属の落葉低木。
4〜5月ごろに開花しそのあと雌株が実をつけます。
1年のうち、6〜7月ごろにしか出会えない山椒の実。
スーパーで見つけたら必ず購入!
ピリッとした辛味が癖になります。
山椒をつかみ込んだる小なべかな 一茶
という句も昔はありますが、季語としては、「山椒」だけでは季語にはならないので要注意。
というのも「切山椒」は新年の季語、「山椒の芽」「山椒の皮」「山椒の皮剥ぐ」「山椒味噌」「山椒和」は春の季語、「山椒の花」「花山椒」「青山椒」は夏の季語、「山椒の実」「実山椒」は秋の季語となっている(のでわかりにくい)ため。
時期的には夏の季語でもよさそうな「山椒の実」ですが、「実」の収穫のイメージもあるせいか、「秋の季語」(とはいえ初秋)として一般的には使われています。
ほかのバリエーションに「実山椒」「はじかみ」「蜀椒」など。
【山椒の実(上五)】
山椒の実噛み愛憎の身の細り 清水径子
山椒の実噛む和紙の里けがれなき 伊藤亨子
山椒の実雨後の日射しにはじけけり 山田節子
山椒の実がりりと噛みて夜勤へと 小早川忠義
【山椒の実(中七)】
癒えゆくや山椒の実の口ひびき 上野さち子
【山椒の実(下五)】
観音にまみゆる前の山椒の実 森澄雄
熟年をいつ過ぎたるか山椒の実 豊田臥雲
短くて猿のしつぽや山椒の実 クズウジュンイチ