【冬の季語=仲冬(12月)】年逝く(年行く)
【ミニ解説】
1年が終わっていくなあ、という感慨を込めた季語。
「逝」は現在、「逝去」などに用いる漢字だが、もともとは
日月逝矣、歳不我与(月日は過ぎゆき、時間は私を待ってくれない)
のように(月日などが)「過ぎ去る」ことをいう漢字。
もともとは「行く年」としての季語のほうが用例が多い。「行く年や」よりも「年行くや」のほうが、「終わっていくなあ」感が出るという人もいる。
1年もあと数日だなあ、という点に感慨を込めた「数へ日」という季語もある。
【年逝く(上五)】
年行くや耳掻光る硯箱 前田普羅
年逝くや兎は頰を震はせて 飯島晴子
【年逝く(中七)】
船のやうに年逝く人をこぼしつつ 矢島渚男
【年逝く(下五)】
那智瀧のしぶきをあびし年も行く 細見綾子
群羊をドイツ野に見し年も逝く 沢木欣一
【その他】
年は唯黙々として行くのみぞ 高浜虚子