【秋の季語】末枯

【秋の季語=晩秋(10月)】末枯

【解説】

気温も下がり冬が近づくと、木々の枝先や葉は、先の方からだんだんと枯れてきます。それを俳句では「末枯(うらがれ)」と呼びます。「すえがれ」と読みそうになりますが、読みません。「枯」が入っているので冬の季語と勘違いしそうになりますが、晩秋の季語です。

近代に入ると「末枯る」と動詞化してゆくようになり、枯れはじめた葉そのものだけでなく、枯れてゆく時間のうつろいもまた、詠まれるようになってきました。動詞化された「末枯る」の用例については、こちらをご参照ください。


【末枯(上五)】
末枯の原をちこちの水たまり 高浜虚子
末枯の山見しよりの一睡り 高野素十
末枯のころのよき月上りけり 久保田万太郎
末枯をきて寿司だねの光りもの 波多野爽波
うらがれのコスモス一花まくれなゐ 佐藤鬼房
末枯に佇みて人やりすごす 西村和子
末枯れやカレー南蛮鴨南蛮 田中裕明
末枯のお稲荷様の電話鳴る 岸本尚毅
末枯や子供心に日が暮れて 岸本尚毅
末枯の国境暮るる吹き曝し フォーサー涼夏

【末枯(中七)】
海へむく山末枯れをいそぎけり 如毛
何草の末枯草ぞ花一つ 暁台
夢に色あり末枯の露草も 山口青邨
草枕して末枯れは旅の匂ひ 野見山朱鳥
なにはともあれの末枯眺めをり 飯島晴子

【末枯(下五)】
まぼろしでありたき城を末枯に 篠田悌二郎


「末枯る」の例句はこちらから


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