ハイクノミカタ

ペスト黒死病コレラは虎列刺コロナは何と 宇多喜代子【季語=コレラ(夏)】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

ペスト黒死病コレラは虎列刺コロナは何と 

宇多喜代子


ヨーロッパ中世を混乱に陥れたペストは、感染者の皮膚が内出血によって紫黒色になることから「黒死病」と呼ばれる。

20世紀初頭には、日本でも感染が広がったが、1899年から1926年までに確認された感染者は2,905名、死亡例2,420名。

一方のコレラは、明治期にたびたび流行が起こり、戦後の復員兵や引揚者からの拡大も社会問題となった。

夏井いつきの『絶滅寸前季語辞典』にも出てくる虚子の〈コレラ船いつまで沖に繋かり居る〉の心情が、ダイヤモンドプリンセス号によって、ふたたび理解できるものになったのも皮肉なこと。

作者は、コロナが漢字表記されることがないことを知りつつ、もし漢字で書くなら、どんな物々しい字を当てることになろうかと問う。

「殺莫」「孤路亡」「故盧無」…うーん、どれもいまひとつ。角川「俳句」2020年8月号より。

(堀切克洋)



【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. ラガーらの目に一瞬の空戻る 阪西敦子【季語=ラガー(冬)】
  2. しんしんと寒さがたのし歩みゆく 星野立子【季語=寒さ(冬)】
  3. 復讐の馬乗りの僕嗤っていた 福田若之
  4. あっ、ビデオになってた、って君の声の短い動画だ、海の 千種創一
  5. みな聖樹に吊られてをりぬ羽持てど 堀田季何【季語=聖樹(冬)】
  6. けさ秋の一帆生みぬ中の海 原石鼎【季語=今朝秋(秋)】
  7. 枯葉言ふ「最期とは軽いこの音さ」 林翔【季語=枯葉(冬)】
  8. くゝ〳〵とつぐ古伊部の新酒かな 皿井旭川【季語=新酒(秋)】

あなたへのおすすめ記事

連載記事一覧

PAGE TOP