「シャンパン5本、入りましたー!」
天野小石(「天為」編集長)
先ずは神田神保町2-20近況報告。
2020年9月1日(火)本日10時前に元銀漢亭の前を通ると、シャッターが開いて軽トラが半分店の中に突っ込んで止まっていました。先日も業者風の男たちが何やら相談中のところを見かけていたので、どうやら次の契約者が現れたなと思っていました。そして今日から内装工事が始まったという訳です。
銀漢亭が閉店した以上、別の店が出来るのは仕方ないけど、やはり何となく面白くありません。軽トラの脇から思い出の詰まった店内を覗くと、切なさが溢れてきます。なので飲食店がオープンしても絶対入るまい!と誓いました。以上近況報告でした。
さて、初めて銀漢亭を訪れた話は先日「銀漢」に書かせて頂きましたので省略。
17年の間には様々な出来事があったけど、個人的に一番の思い出は誕生日パーティーだろうか。何回の誕生日を銀漢亭で過ごしたか定かではないが、丁度10年前の9月に祝って頂いた誕生日は、人生絶頂の1日だったと思う。
そのパーティーはその場で「AKB48(天野小石バカな48歳)」と名付けられ、集まって下さった大勢の方たちと大騒ぎの一夜となった。またその日は銀漢亭史上に残る記録も作った。
個人のお祝いではそれ以前も以後もなかったであろう、シャンパン5本をカウンターに並べた。それは天為の仲間の橋本有史さんや小川洋さんや福岡るぴちゃんが中心となって並べて下さったのだ。
彼らはまた私が初めて銀漢亭に店員として入店した日、ドアの前に「祝・ご入店」の豪華な花を出してくれた。私の銀漢亭での17年間を支えて下さったお3人には心より感謝している。
もう一つ、盛大なパーティーがあった。それは9年前に私が第1句集を出版したときのお祝いである。
9月23日の午後、学士会館で開催した祝賀会には恩師、そしてそれまで句座を共にした俳人150名にご参加頂き、銀漢亭ピープルも大勢来て下さった。
その後2次会に伊那男さんが銀漢亭を開けて下さった。店に入りきれず、お帰りになった方も多かったと後で聞いた。
この夜も大騒ぎとなったのである。
幸せな17年間だった。伊那男さんが銀漢亭を天為編集室の至近にオープンして下さったことで、私の俳句人生は豊かになった。
長い間本当にありがとうございました。
今は寂しく家で1人「小石ボンベイ」を飲む毎日だが、銀漢亭で出会った皆様といつかまた一緒に飲めることを信じている。
【執筆者プロフィール】
天野小石(あまの・こいし)
1962年東京生まれ。1995年「港」(大牧広主宰)で俳句を始める。2000年「天為」(有馬朗人主宰)入会。現在「天為」編集長。俳人協会会員。句集に『花源』。杉並区高円寺在住。