難読俳句辞典【第12回】「糈米」


糈米くましね

レベル ★★★★

使用頻度 ☆☆☆

<ジャンル>農業、神事

<類語>奠稲、かしよね、洗米


【例句】

糈米くましねも霜を被りて道祖神  高野ムツオ


一般的には見慣れない漢字の「糈」。食糧を意味することから、さらに意味が狭まり、神様を祀るのに用いた精米のことを指します。漢音は「ショ」。つまり「糈米」を音で読ませるのならば、「ショマイ」となります。

今の流通している漢字で書くならば、「神稲」となるのでしょうか。兵庫県明石市の太陽酒造の醸す酒は、「神稲」に「くましね」とルビを振っていますが、神に供えるという「供米」とも通じているように見えますね。

くましねは「奠稲」という字も当てられますが、「奠」は「神仏に酒食などを供える」の意。もともと「香典」の「典」がこの漢字なのですが、常用漢字ではないため、「香奠」とは書かずに、「香典」と書くことが一般的となっています。

同様に「かしよね」も古い言葉で、神仏に供えるために、水で洗い浄めた白米のことを指し、「粿米」や「淅米」という字を当てます。


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