【夏の季語=三夏(5−7月)】蠅
ハエ(蠅・蝿)は、夏になるとよく飛び回るようになる。歴史的仮名遣いは「はへ」。
糞などにたかっている場面に出くわすこともあり、人に嫌われる存在である。
ハエの幼虫については「蛆」であり、これもまた人に嫌われる存在である。
立秋を過ぎても残っている蝿は「秋の蝿」、立冬を過ぎてもなお残っている蝿は「冬の蝿」。
「蝿生まる」は、春の季語とされる。
【蠅(上五)】
蠅憎めばすこし離れしところにゐ 山口誓子
【蠅(中七)】
法案可決蠅追つてゐるあひだ 堀田季何
【蠅(下五)】
国に恩売りしことあり蠅叩く 八田木枯
わが肘を伝ひ歩める蠅涼し 岸本尚毅
みづうみに触れて震へし蠅の肢 西原天気