【春の季語（晩春＝4月）】薊
キク科アザミ属の多年草。葉は大形で深い切れ込みがあり、刺が多い。頭状花で紅紫。
春の終わりごろから夏にかけて咲くが、夏の薊は「夏薊」とする。
【薊（上五）】
薊野やはや灯を入れし水車守 芝不器男
薊見る実相院のまひるかな 波多野爽波
山薊昏きこゝろに刺さりくる 中島斌男
野薊の場所を静かに支持すなり 攝津幸彦
野薊は花を残して立ち去れり 五島高資
【薊（中七）】
ふれてみしあざみの花のやさしさよ 星野立子
高原の薊はまぎれ易き色 稲畑汀子
一茎のあざみを挿せば野のごとし 黒田杏子
【薊（下五）】
透く海にふるるばかりの花薊 沢木欣一
あふむけに車の燃ゆる薊かな 若林哲哉
【ほかの季語と】
ゆく春やとげ柔らかに薊の座 杉田久女
蒲公英や薊に影をうち重ね 小杉余子