【秋の季語=三秋(8-10月)】稲妻
空中に自然に起こる放電に伴って、空を走る光。「稲光」などともいう。
歴史的仮名遣いは「いなづま」。
雷が多い年には豊作になると信じられていましたことからその名があるが、これは稲妻(雷)の放電によって大気中の窒素が天然の肥料となり、稲の成長を助けるという点にある。
雷と現象としては同じだが、俳句では「雷」を夏の季語として使い分けている。
【稲妻(上五)】
稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ 中村汀女
いなづまの花櫛に憑く舞子かな 後藤夜半
稲妻や将棋盤には桂馬飛ぶ 吉屋信子
稲妻や童のごとき母の貌 恩田秀子
稲妻となつてお前を喜ばさう 竹岡一郎
稲妻に愛されてゐる異性装 佐々木紺
【稲妻(中七)】
あの雲は稲妻を待たより哉 松尾芭蕉
【稲妻(下五)】
自宅警備員駆けだす稲妻へ 堀田季何