【夏の季語=仲夏/晩夏(6-7月)】毛虫
「蛾」の幼虫。
少々毛の生えた「芋虫」と明確な区別はないらしいが、「芋虫」は秋の季語である。
【毛虫(上五)】
毛蟲焼けば 空にはあかきものあるらし 富澤赤黄男
毛虫の天食欲ふかき音を発す 佐藤鬼房
毛虫焼くための百円ライターなり 藤田湘子
毛虫焼く毛深きことのかくあはれ 鷹羽狩行
【毛虫(中七)】
九州の毛蟲にしては小さかり 星野麥丘人
百花園にて毛虫まできらびやか 後藤比奈夫
頬杖の温度毛虫を焼く温度 楠本奇蹄
石段や毛虫は毛虫らしく這ひ 江渡華子
俊敏にうねる毛虫を犬不機嫌 浅川芳直
【毛虫(下五)】
キリストの寵なき我や毛虫焼く 藤田湘子
鉄棒の光を舐めてゐる毛虫 片山一行
【その他の季語と】
啓蟄の蜥蜴毛虫に木影かな 石橋秀野
毛虫が秋の蝶となる日よ人荒れて 金子兜太
足もとを蟹も毛虫もひた急ぐ 相生垣瓜人