夏の季語

【夏の季語】黴

日本の夏には「梅雨」がある。

雨が増え、湿度が高くなり、黴も増える。


【黴(上五)】
黴の宿寝すごすくせのつきにけり  久保田万太郎
黴の中言葉となればもう古し 加藤秋邨
黴の花イスラエルよりひとがくる 富沢赤黄男
黴のアルバム母の若さの恐ろしや 中尾寿美子
黴の世の黴も生きとし生けるもの 鷹羽狩行
黴の世や言葉もつとも黴びやすく 片山由美子
黴くさし男やもめとなりてより 伊藤伊那男
黒黴と赤黴まじりゐるところ 小澤實

【黴(中七)】
交響楽運命の黴拭きにけり 野見山朱鳥
見てゐたり黴を殺してゐる泡を 高柳克弘
ワイキキや黴臭きものなにもなし 千野千佳

【黴(下五)】
草寺の十二神将黴びたまひ 山口青邨
親戚のような顔して黴育つ 鎌田次男
タイガース御一行黴の宿 山田弘子


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