【冬の季語=晩冬(1月)】臘梅(蠟梅)
中国原産で、日本へ渡来したのは17世紀初めの江戸時代ごろ。
早生種では12月頃に、晩生種でも2月にかけて、黄色く香り高い、半透明の花がやや下を向いて咲く。
和名の「ロウバイ」の語源は、漢名の「蝋梅」の音読みとされ、由来について一説には、陰暦の12月にあたる「朧月」に梅の香りの花を咲かせるためだと言われている。『本草綱目』によれば、半透明でにぶいツヤのある花びらがまるで「蝋細工」のようであり、かつ臘月に咲くことにちなむとある。それゆえに「臘梅」と書かれることも「蠟梅」と書かれることもある。
【臘梅(上五)】
臘梅の差しゐる雪の上の影 阿波野青畝
臘梅や雪うち透かす枝のたけ 芥川龍之介
臘梅や薄雪庭を刷きのこす 水原秋櫻子
臘梅はもつと淋しい花の筈 飯島晴子
臘梅を透けし日差の行方なし 後藤比奈夫
臘梅や人待つならば死ぬるまで 藺草慶子
臘梅や人の話の聞こえきて 山西雅子
臘梅や水に入る巌うつくしき 長谷川櫂
臘梅につめたき鳥の貌があり 岸本尚毅
臘梅ややはらかき手を鍵盤に 仙田洋子
臘梅や水を掃きたる竹箒 折勝家鴨
臘梅が顔の高さにあれば寄る 今泉礼奈
【臘梅(中七)】
ほとけ恋ひゐて臘梅の一二りん 鷲谷七菜子
一草庵臘梅の香が日だまりに 池内けい吾
歩み来て臘梅はたと眉の上 岸本尚毅
ひとりとてもたのしさう臘梅ことり 小川楓子
【臘梅(下五)】
日曜のひかりは濡れて蠟梅に 高勢祥子