冬の季語

【冬の季語】枯蓮

【冬の季語=三冬(11〜1月)】枯蓮(かれはす・かれはちす)

晩夏に咲きほこる「」も冬になると枯れ落ちてしまいます。折れ曲がり、また骨のように突っ立ち、泥水にうずくまる蓮の姿に俳人は種々の思いを託してきました。「はちす」は古名です。

蓮枯る」と動詞的に使うこともあります。


【枯蓮(上五)】
枯蓮や鯉を丸煮の志那料理 野村喜舟
枯蓮や田毎田ごとの空暮れて 水原秋櫻子
蓮枯れて支へなき日がしたたれり 藤田湘子
枯蓮をうつす水さへなかりけり 安住敦
枯蓮のうごく時きてみなうごく 西東三鬼 
枯蓮のうごくときなどあるものか 飯島晴子
蓮枯れてなほ水面を支配せり 御中虫
枯蓮の上に星座の組まれけり 村上鞆彦

【枯蓮(中七)】
湖の枯蓮風に賑かに 高野素十
枯るるとき最も蓮のなまめかし 橋閒石
杖ついて水の枯蓮歳をとる 竹鼻瑠璃男

【枯蓮(下五)】
おもしろうなりゆくところ枯蓮 山尾玉藻
いつさいは天上にあり枯蓮 浦川聡子

【その他】
蓮十里尽く枯れてしまひけり 正岡子規
ひとつ枯れかくて多くの蓮枯るる 秋元不死男
蓮ほどの枯れぶりなくて男われ 能村登四郎


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