【夏の季語】蜥蜴

【夏の季語=仲夏/晩夏(6-7月)】蜥蜴
とかげ。有鱗目トカゲ亜目に分類される爬虫類の総称である。漢字では「蜥蜴」という字を当てることが多い。「石竜子」とも。暑い時期、草むらや石垣などで活発に動き回る姿を見かけることが多い。文学分野では、室生犀星が「とかげ」というエッセイを書いている。「黒蜥蜴」は江戸川乱歩の小説で、たびたび舞台化がされている。吉本ばななの小説「とかげ」は短編で新潮文庫に入っている。

フトアゴヒゲトカゲ


【蜥蜴(上五)】
とかげ迅し水泡音胸にはじけつつ 日野草城
蜥蜴照り肺ひこひことひかり吸ふ 山口誓子
蜥蜴出て既に朝日にかがやける 山口誓子
とかげ瑠璃色長巻く日本の帯銀無地 三橋鷹女
青蜥蜴なぶるに幼児語をつかう 金原まさ子
蜥蜴出づ驚きやすき縞を被て 鷹羽狩行
とかげ生れ忽然として湖に向く 黒田杏子
蜥蜴と吾どきどきしたる野原かな 大木あまり
蜥蜴するりと自販機は故障中 谷口摩耶
蜥蜴逃げその後岩の青さかな 四ツ谷龍
蜥蜴出て針より細き指ひらく 金山桜子
瑠璃蜥蜴紫電一閃盧舎那仏 堀本裕樹

【蜥蜴(中七)】
石階の二つの蜥蜴相識らず 富安風生
父となりしか蜥蜴とともに立ち止る 中村草田男
薬師寺の尻切れとかげ水飲むよ 西東三鬼
天にまだ蜥蜴を照らす光あるらし  八田木枯
直角となりて蜥蜴のレンガ越ゆ 黒沢雪乃
ひしと吐く蜥蜴の舌のかなしけれ 石嶌岳
さっきから蜥蜴を口説く人がいて 大池美木
干からびし蜥蜴のごとく終りたし 坪井祭星

【蜥蜴(下五)】
はしりすぎとまりすぎたる蜥蜴かな 京極杞陽
ゆふぞらのしがなくなりし蜥蜴の尾 八田木枯
迷宮を抜け来し貌の蜥蜴かな 伍籐輝之
巌割つて生れし如き蜥蜴かな 大串章
手の泥の滴りいしが青蜥蜴 高野ムツオ
下京の仁王の肩の瑠璃蜥蜴 坪内稔典
さらさらと基地のポストに蜥蜴入る 松野苑子
そこんとこ超合金の蜥蜴の尾  嵯峨根鈴子
夜の更けて小箱を閉じる瑠璃蜥蜴 有瀬こうこ

【その他の季語と】
蟻・とかげ声持たぬ愛はげしかり 熊谷愛子
たれかれも蜥蜴でありしころの虹  田中亜美 



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