
「立春」から数えて、88日目のこと。新暦の5月2日、3日ごろ。「立夏」の直前となる。
もともと、太陰暦をベースとしている日本の旧暦では暦日と季節のずれが最も大きいときには半月もずれるため、太陽暦をベースとした雑節として起こり広まったものである。「夏も近づく八十八夜」という唱歌で知られるように、「茶摘」がはじまる時期でもある。
春先には寒冷な移動性高気圧が日本列島を通過することにより、収穫直前の茶の霜害が報告されてきたため、夏のはじまりを告げるこの日は「八十八夜の別れ霜」などとも称されてきた。正岡子規の句に〈出流れの晩茶も八十八夜かな〉や〈霜なくて曇る八十八夜かな〉がある。
歴史的仮名遣いだと「はちじふはちや」(「十」は昔の中国語でjipと発音されていたため)。

【八十八夜(上五)】
八十八夜火よりも熱き餅の白 大木あまり
八十八夜八方に水ひびき 廣瀬町子
【八十八夜(中七)】
児を持たず八十八夜寒み寝る 石橋秀野
ふるさとのあすは八十八夜かな 保田ゆり女
きらきらと八十八夜の雨墓に 石田波郷
音立てて八十八夜の山の水 桂信子
歯にしみる風の八十八夜かな 手塚美佐
【八十八夜(下五)】
太皷連の番付が来て八十八夜 長谷川かな女
息深く吸ひて八十八夜寒 片山由美子