
台風の目の下に、あら、クロワッサン
岡清秀
揚句は「窓」2026年3月3日 春号より。
あら、とは非常にのんきだこと。台風の目の下だから、台風に巻き込まれているクロワッサンである。ぱりぱりしたがわがばらばらになってしまってはいないか。ぎりぎりのところでクロワッサンの形で耐えているのだろうか。
何とか台風の目へと入っていきたいクロワッサン。なかなか入れないでいるクロワッサン。せつない。不安。心配。かわいそう。かわいい。クロワッサンだから、いろいろなことをのんきに想像できる気がする。クロワッサンは、必死だろうけれど。
句読点もリズム良く。いや、息絶え絶えということなんだろうか。だとしたらつらい、クロワッサン。されど、結局のところ、きっと意思はない、クロワッサン。この句、全体的なバランスによって、俳句のたのしさを味合わせてくれている。
「ハイクノミカタ」の連載を共にした、写真についての話しをさせてください。地元伊丹の野球場の写真です。伊丹らしく、伊丹の酒造会社「白雪」の広告がある。
わたしは岡清秀さんのひらく句会に参加して俳句をはじめた。俳句なんてほとんど作ったことがないけれど、見よう見まねの17音をまとめて句会に参加した。
ある句に2点入った!うれしい。わたしはほめられるつもりで選評を聞くのをたのしみにした。しかし、ほめられると思っていたら、この句はいいけれど、こうした方がいい、いや、こうではなく、ああした方がいい、と、わたしの句を取ってくださったふたりは意見をぶつけ合わせている。
あれ、ほめられるのではないのだな。だけど、わたしの頼りない俳句が、ちゃんと俳句としてそこにあって、生き生きしている。これはとても面白いぞ、と思った。
確かその日の二次会だったと思う。岡さんがわたしに話してくれた。「俳句は草野球。草野球はあそびだけれど真剣にやるでしょう。俳句もおなじです」
なるほど、句会では、俳句をつくるひとも、読むひとも真剣に、たのしくやっている。
俳句は草野球。わたしはその言葉をそれからお守りのようにして、句会に参加している。句会をひらいている。俳句を作っている。これからもずっと、草野球のように、俳句を続けていきたい。
(内橋可奈子)
【執筆者プロフィール】
内橋 可奈子(うちはし・かなこ)
1983年生まれ。兵庫県在住。「伊丹市俳句協会」会員。「窓の会」常連。