【夏の季語】繭

【夏の季語=初夏-仲夏(5-6月)】繭

繭(まゆ)は、活動が停止または鈍い活動状態にある動物を包み込んで保護する覆いを指すが、季語としては「」の繭のこと。絹糸の原料となる。養蚕業において、蚕を飼育して繭を出荷するまでの期間(蚕期)は、「春蚕」、「初秋蚕」(夏蚕)、「晩秋蚕」(秋蚕)の三回であることが多く、このうち春蚕は掃き立てて飼育したのち五月二〇日ごろに「上蔟」、五月末に繭掻きを行い、六月初旬に出荷した。五月から六月にかけては、「農の五月」といわれるように農家は多忙を極めた。〈まゆひとつ仏のひざに作るなり〉(小林一茶)など、江戸期の庶民の暮らしから詠まれてきた題である。


【繭(上五)】
繭を煮るゆつくり円を描きながら  服部早苗
玉繭にありし匂ひの唐突に 井上信子
繭を煮るにほひや雨が玻璃越しに しなだしん

【繭(中七)】
曼茶羅を敷き臥し繭となりはつる 夏石番矢
忘れ物めく屑繭でありにけり 木暮陶句郎

【繭(下五)】
光陰のながれてをりぬ繭の中 鈴木貞雄

【自由律】
くらしの足しにはなるほどの白い繭です  栗林一石路

【その他の季語と】
道ばたに繭干すかぜのあつさ哉 許六
くれなゐの繭の中なる朝寝かな 原友子
まぶしさの四温の繭を掌に掬ふ 木村蕪城

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