【新年の季語(1月)】淑気
新しい年を迎え、天地山河いたるところに瑞祥の気が満ちていること。
もともとは漢詩において用いられていた言葉である。読みは「しゅくき」。
【淑気(上五)】
淑気満つ晝襖の幾間罷るなり 大谷句仏
淑気とや杯つぎつぎに拭かるゝも 樫本由貴
【淑気(中七)】
岩風呂に淑気の星の限りなし 作山泰一
【淑気(下五)】
観音の頤仰ぐ淑気かな 森澄雄
蓮根を食む音に笑む淑気かな 久地楽桃子
墨を磨る音なき音の淑気かな 八染藍子
瀬戸内のちりめん波や淑気充つ 長尾博
曙光差すフランス窓や淑気満つ 高松武雄
菊炭に火の移りゆく淑気かな 杉阪大和
狛犬の胸盛り上がる淑気かな 小川軽舟
リスト弾く第一音にある淑気 涌羅由美
内湯から露天へと出る淑気かな 岡田由季
猫の眼に吾が顔映る淑気かな 金子 敦
火の貌のにはとりの鳴く淑気かな 篠崎央子
安売のタイヤ積まれて淑気かな 松本てふこ
虚子の字の膨らんでゐる淑気かな 西村麒麟