「未来図」

かきつばた日本語は舌なまけゐる　角谷昌子【季語＝かきつばた（夏）】

山眠る海の記憶の石を抱き　吉田祥子【季語＝山眠る（冬）】

短日や襁褓に父の尿重く　相子智恵【季語＝短日（冬）】

常連とならぬ気安さ帰り花　吉田哲二【季語＝帰り花（冬）】

母の目の前で沸かして湯たんぽへ　守屋明俊【季語＝湯たんぽ（冬）】

立冬や日向に立てば湧く力　名取里美【季語＝立冬（冬）】

一人一個ぼうぶら持つて前進す　小山玄紀【季語＝ぼうぶら（秋）】

身に入むやふた親の亡き家の鍵　吉田祥子【季語＝身に入む（秋）】

秋麗の柩にもたれ眠りけり　藤田直子【季語＝秋麗（秋）】

今生のいまが倖せ衣被　鈴木真砂女【季語＝衣被（秋）】

おとろへし親におどろく野分かな　原裕【季語＝野分（秋）】

顔を見て出席を取る震災忌　寺澤始【季語＝震災忌（秋）】

嚙み合はぬ鞄のチャック鳥曇　山田牧【季語＝鳥曇（春）】

しかと押し朱肉あかあか冬日和　中村ひろ子（かりん）【季語＝冬日和（冬）】

キャベツに刃花嫁衣裳は一度きり　山田径子【季語＝キャベツ（夏）】

まだ固き教科書めくる桜かな　黒澤麻生子【季語＝桜（春）】

砂浜の無数の笑窪鳥交る　鍵和田秞子【季語＝鳥交る（春）】　

血を分けし者の寝息と梟と　遠藤由樹子【季語＝梟（冬）】　

つぶやきの身に還りくる夜寒かな　須賀一惠【季語＝夜寒（秋）】

扇子低く使ひぬ夫に女秘書　藤田直子【季語＝扇子（夏）】

新宿発は逃避行めき冬薔薇　新海あぐり【季語＝冬薔薇（冬）】

ビーフストロガノフと言へた爽やかに　守屋明俊【季語＝爽やか（秋）】

ダリヤ活け婚家の家風侵しゆく　鍵和田秞子【季語＝ダリヤ（夏）】

青嵐神木もまた育ちゆく　遠藤由樹子【季語＝青嵐（夏）】

江の島の賑やかな日の仔猫かな　遠藤由樹子【季語＝仔猫（春）】

俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第16回】鹿児島県出水と鍵和田秞子

神保町に銀漢亭があったころ【第114回】中村かりん

霜柱ひとはぎくしやくしたるもの　山田真砂年【季語＝霜柱（冬）】

神保町に銀漢亭があったころ【第84回】飯田冬眞

どんぶりに顔を埋めて暮早し　飯田冬眞【季語＝暮早し（冬）】

神保町に銀漢亭があったころ【第71回】遠藤由樹子

神保町に銀漢亭があったころ【第62回】山田真砂年

神保町に銀漢亭があったころ【第58回】守屋明俊

かきつばた日本語は舌なまけゐる 角谷昌子【季語＝かきつばた（夏）】

山眠る海の記憶の石を抱き 吉田祥子【季語＝山眠る（冬）】

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立冬や日向に立てば湧く力 名取里美【季語＝立冬（冬）】

一人一個ぼうぶら持つて前進す 小山玄紀【季語＝ぼうぶら（秋）】

身に入むやふた親の亡き家の鍵 吉田祥子【季語＝身に入む（秋）】

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今生のいまが倖せ衣被 鈴木真砂女【季語＝衣被（秋）】

おとろへし親におどろく野分かな 原裕【季語＝野分（秋）】

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