雨の多い時期にきのこを見つけると、嬉しくなる。
読みは「つゆきのこ」または「つゆだけ」。
「梅雨の茸」とも。
【梅雨茸(上五)】
梅雨茸の人にも見せて捨てらるる 後藤夜半
梅雨茸や勤辞めては妻子飢ゆ 安住敦
梅雨茸にときどき人の話し声 辻田克巳
梅雨きのこひとの油断を見てゐたる 藤田湘子
梅雨茸の踏まれて土に戻りたる 稲畑汀子
梅雨茸をたふし金閣去りにけり 大木あまり
【梅雨茸(中七)】
道標が朽ちて梅雨茸にも劣る 鷹羽狩行
【梅雨茸(下五)】
大形に崩れてしまふ梅雨茸 殿村菟絲子
たはやすき恋のごとくに梅雨茸 小林康治
わたくしに劣るものなく梅雨きのこ 池田澄子
なめくぢを越えゆく蟻や梅雨菌 岸本尚毅