【夏の季語=初夏(5月)】初鰹
鰹は季節的な回遊のため、旬が1年に2回ある。南の暖かい海で冬を過ごした鰹は、3月頃に鹿児島県沖で漁が始まり、黒潮にのって北上する。鎌倉で水揚げされた「相州の初鰹」は特に珍重されていた。芭蕉に〈鎌倉を生きて出でけん初鰹〉がある。
初物が大好きの江戸っ子たちは、「初物を食えば75日長生きする」と言って初鰹を好んだ(とはいえ、とても高価であった)。当時、鰹の売り出し時期は4月と定められていたため、現在でも初夏の季語とされる。其角の句に〈まな板に小判一枚初がつを〉がある。
歴史的仮名遣いは「はつがつを」。
【初鰹(上五)】
初鰹ひとの母子を身の邊 石田波郷
初鰹黒潮を来し尾の緊まり 今瀬一博
【初鰹(中七)】
【初鰹(下五)】