<はじめに> → 「句集ホロスコープ」【#1】
【今月の1冊/今月の1句】


初蝶もこぼるる花もけふ虚子忌
『弄花』田丸千種
2024年12月8日 東京都・正午
太陽/射手座、月/魚座、水星/射手座、金星/水瓶座、火星/獅子座、木星/双子座、土星/魚座、天王星/牡牛座、海王星/魚座、冥王星/水瓶座
ホロスコープには「天体(星)」「サイン(星座)」「ハウス(部屋)」という三つの要素があります。そのサインはさらに性質によって三つに分けられ、活動宮、不動宮、柔軟宮と呼ばれます。
『弄花』は不動宮に星が4つ、柔軟宮に6つで、活動宮には星が1つもありません。このことから活動宮の性質が著しく薄いということがわかります。活動宮の性質は新しく始めることや自分から積極的に動くことです。不動宮は始めた事柄を落ち着かせ維持すること、柔軟宮は変化にスムーズに対応することができます。『弄花』は周囲から望まれて、あるいは変化する時代の中で自然に生まれてきた句集だと思います。
句集のタイトル『弄花』は唐時代の詩人、干良史の「春山夜月」の一部で禅語になっている〈掬水月在手 弄花香満衣〉からつけたのだとあとがきにあります。おおまかな意味は〈水を掬えば手の中に月が在り、花にふれて遊べば服に香りがつく〉で、春の山の喜びを詠んだものです。そこで、太陽と木星のタイトなオポジション(180度)に注目しました。太陽は自分自身や意志を表し、木星は拡大、成長を扱います。非常に大らかで大雑把、野心的で冒険的なこのアスペクトは春の豊かさを大きくとらえた〈弄花香満衣〉へと繋がります。
また金星と冥王星のタイトなコンジャンクション(0度)も見逃せません。金星が扱う美の力と冥王星の頂点という力がブレンドされると、美しいものの極みというイメージが浮かびます。快楽の極みとも言えるこのアスペクトも〈掬水月在手 弄花香満衣〉に繋がってゆくのです。
初蝶もこぼるる花もけふ虚子忌
虚子を直接知っている人も、そうでない人も、蝶のくる花の下に集っています。虚子忌が終われば、みんな春の香りを帰ってゆくのです。
(岸田祐子)
【執筆者プロフィール】
岸田祐子(きしだ・ゆうこ)
「ホトトギス」同人。第20回日本伝統俳句協会新人賞受賞。
初代木曜レギュラー!(2020年10月〜2023年6月連載)
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