【連載】岸田祐子の「句集ホロスコープ」【#11】『メキシコ料理店』小野裕三(KADOKAWA、2006年)

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【今月の1冊/今月の1句】


 「あの高いところまで行きたいな」ビーチサンダルやわらか
『メキシコ料理店』小野裕三
2006年12月1日 東京都・正午
太陽/射手座、月/牡羊座、水星/蠍座、金星/射手座、火星/蠍座、木星/射手座、土星/獅子座、天王星/魚座、海王星/水瓶座、冥王星/射手座


 西洋占星術では12星座を火、地、風、水の4つのエレメンツ(四元素)に分ける考え方があります。これは似たような性質や価値観を持つ星座3つずつを1つのグループにしたものです。この四区分を見てみると『メキシコ料理店』は、圧倒的に火のエレメンツが多く6つ。他は水が3つで風が1つです。地のエレメンツは1つもありません。このことからこの句集は火の性質が強く、地の性質が弱いということがわかります。火のエレメンツが扱うものは直感や情熱、一方で地のエレメンツは実際に触れられるものや目に見えるものを扱います。この句集に集まった言葉は、直感的なものが多くそれが具体的なものを示すものだったとしても、どこか遠くの景色のようです。

 火のエレメンツに属する牡羊座にある月は、同じく火のエレメンツの射手座にある太陽と金星と、それぞれにトライン(120度)を作ります。太陽と月のトライン(120度)は、「こうしたい」という太陽と「こう感じる」という月のエネルギーが調和的に交わって行動と心のずれがありません。また、美しいことや楽しいことを扱う金星と心を扱う月のトライン(120度)は、のびのびとした感性で心を言葉にしてゆきます。
 一方で、火星と土星のタイトなスクエア(90度)には情熱が抑制されるイメージがあります。この形は上手く使えば情熱をコントロールして目標を達成することができますが、我慢しすぎると追い詰められてしまうという一面を持ちます。『メキシコ料理店』には、連想を膨らませたくなるような強い言葉と使いなれた馴染みある言葉の両方があります。ただ、どちらも少し遠くを見つめるような離れた感じがあるのはこのアスペクトの距離感なのかもしれません。

「あの高いところまで行きたいな」ビーチサンダルやわらか

大抵の場合、ビーチサンダルは地面にくっついています。そんなビーチサンダルの夢はいつか地面を離れて空のうんと高いところまでゆくことです。

『メキシコ料理店』のご案内
https://yuzo-ono.com/

岸田祐子


【執筆者プロフィール】
岸田祐子(きしだ・ゆうこ)
「ホトトギス」同人。第20回日本伝統俳句協会新人賞受賞。


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