【冬の季語=初冬(11)】酉の市
酉の市は、例年11月の酉の日に行われる祭礼。
境内に「熊手」を売る露店が出て、売れたときには威勢よく「いよーっ」と、手締めをしてもらえる。
関東地方を中心とする祭りであり、かつ平日に一日限りで行われることが多いため、一般的にもよく知られているとはいえないが、初冬の風物詩として、関東圏の俳人には愛されている季語である。
鷲や鳥にちなむ寺社で行われるが、江戸時代後期から最も著名な酉の市のひとつとして、浅草の鷲神社がある。新宿の花園神社なども有名で賑わう。
多いときは11月中に三回行われるので、それぞれを「一の酉」「二の酉」「三の酉」と呼び分けることもある。
【酉の市(上五)】
酉の市一筋裏を通りけり 鈴木榮子
【酉の市(中七)】
【酉の市(下五)】
松葉屋の女房の円髷や酉の市 久保田万太郎
星などの高きは見ずに酉の市 篠田悌二郎
浅草をはづれはづれず酉の市 松岡ひでたか
華やかに欲の渦巻く酉の市 塚本一夫