歳時記のトリセツ

【連載】歳時記のトリセツ(2)/橋本喜夫さん

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【連載】
歳時記のトリセツ(2)/橋本喜夫さん


今年2022年、圧倒的な季語数・例句数を誇る俳句歳時記の最高峰『新版 角川俳句大歳時記』が15年ぶりの大改訂!

そんなわけで、このコーナーでは、現役ベテラン俳人のみなさんに、ふだん歳時記をどんなふうに使っているかを、おうかがいしちゃます。歳時記を使うときの心がけ、注意点、あるいは歳時記に対する注文や提言などなど……ごにょごにょ……

前回の村上鞆彦さんからのご指名(?)にて、第2回は「雪華」主宰の橋本喜夫さんのご登場です!


――初めて買った歳時記(季寄せ)は何ですか。いつ、どこで買いましたか。

私は何と通信教育から俳句をはじめたので、初めての歳時記はユーキャンの会社から送られてきました。はじめの1~2年それを使いました。近所の書店ではじめて買ったのが『季語秀句用字・用例辞典』(齋藤慎爾編、柏書房)でした。かさばりますが、この後2~3年は使ったでしょうか。

橋本さんが最初に買った『必携季語秀句用字用例辞典』(1997)

――現在、メインで使っている歳時記は何ですか(複数回答可)。

(1)角川俳句大歳時記(2013)(電子辞書版)

(2)季寄せ 角川春樹編(2000)(角川春樹事務所)

(3)合本現代俳句歳時記 角川春樹編(1998年)

――歳時記はどのように使い分けていますか。

句会・日常的には(1)(3)を使用し、(2)は吟行に持ち歩く。散文・鑑賞・調べものをする時は、現代俳句大事典(三省堂)を使います。

――句会の現場では、どのように歳時記を使いますか。なるべく具体的に教えてください。

はじめの10年間は(3)を持ち歩いていたのですが、ここ10年間は手軽なので電子辞書の(1)で済ませています。

――どの歳時記にも載っていないけれど、ぜひこの句は収録してほしいという句があれば、教えてください。大昔の句でも最近の句でも結構です。

朝ごとに沙漠の薔薇を語り合ふ  室谷安早子(むろやあさこ)

一昨年亡くなった雪華同人です。私は大変お世話になり、忘れられない俳人です。

――自分だけの歳時記の楽しみ方やこだわりがあれば、教えていただけますか。

初心の頃は「春」の1頁目からすこしずつ読み込んでいったこともありますが、頓挫しました。最近は多忙すぎてこだわりはありません。

――自分が感じている歳時記への疑問や問題点があれば、教えてください。

のちに牛後さんが詳しく述べてくれると思いますが、北海道ですから当然季節感のずれがあるわけで、それも今となっては「ずれ」を楽しむ心境になっています。

――歳時記に載っていない新しい季語は、どのような基準で容認されていますか。ご自分で積極的に作られることはありますか。

歳時記が完璧なもの、完成型とは思っていないので、結社誌に掲載する句は歳時記に載ってなくても明らかに自分の中で容認できれば掲載します。自分で積極的に詠むことはしませんが、北海道特有の季語は今後作って発表してゆきたいと思います。

――そろそろ季語として歳時記に収録されてもよいと思っている季語があれば、理由とともに教えてください。

それは後に牛後さんがいくつか挙げてくれると思います。北国に住んでいると当然収載されていると思い込んでいてビックリすることは多々あります。

――逆に歳時記に載ってはいるけれど、時代に合っていないと思われる季語、あるいは季節分類を再考すべきだと思われる季語があれば、教えてください。

私は絶滅危惧種が好きなので、ずっと収録しつづけて欲しいです。歳時記は無限増殖でよいと思っています。

――季語について勉強になるオススメの本があったら、理由とともに教えてください(複数回答可)。

私は季語について勉強不足な人間ですのでお勧めの本はありません。ただ「蕪村全句集」(藤田真一、清登典子編、おうふう社)をはじめから読み込んでゆくと、とても季語の勉強になります。

――最後の質問です。無人島に一冊だけ歳時記をもっていくなら、何を持っていきますか。

『季寄せ』(角川春樹編)ですね。コンパクトで私が知るかぎり季語の数だけはべらぼうに多く載っています。

季語の数だけはべらぼうに多く載っている『季寄せ』

――以上の質問を聞いてみたい俳人の方がもしいれば、ご紹介いただけますか。テレフォンショッキング形式で…

仲間内ですこし気が引けますが、鈴木牛後さんです。彼なら私の不完全な答えを埋めてくれると思います。

――お忙しいなか、ご協力ありがとうございました。それでは次回は、同じ北海道在住の鈴木牛後さんにお願いしたいと思います。


【今回、ご協力いただいた俳人は……】
橋本喜夫(はしもと・よしお)さん
昭和32年北海道厚岸郡浜中町霧多布生まれ、旭川市在住。平成10年通信講座で俳句開始、「雪華」入会、平成11年「銀化」入会、平成12年「雪華」同人、平成14年「第24回雪華俳句賞」、平成15年「第5回俳句界賞」「銀化準銀翼賞」、平成16年「銀化」同人、「銀化新人賞」。平成17年 句集「白面」、平成18年「第26回鮫島賞」「加美俳句大賞スウエーデン賞」「第7回北北海道現代俳句協会賞」、平成24年 「銀化」第一同人、「鮫島賞」選考委員、平成28年7月より「雪華」主宰。令和2年、句集「潜伏期」、道新俳句賞。

俳句の入り口は、強度の腰痛で野球、ゴルフなどのスポーツができなくなり、何かを新たに始めようと思っていた時に、テレビのBS「俳句王国」を見たのがきっかけ。

現在:俳句四季吟詠 選者、北海道新聞日曜俳句選者、北海道新聞俳句賞選者

好きな俳人;石田波郷、西東三鬼、河原枇杷男など



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