【冬の季語=三冬(11月〜1月)】白息
【解説】
冬の季語「息白し」の派生形。
【白息(上五)】
白息を掌にかけて今日はじまりぬ 石田波郷
白息の駿馬かくれもなき曠野 飯田龍太
白息のゆるゆる読むや虚子句集 川崎展宏
白息やこの木より蛇落ちきしと 宇佐美魚目
白息の太き行方や海の虹 鷲谷七菜子
白息のあたたかかりし昔かな 今井杏太郎
白息のゆたかに人を恋へりけり 藺草慶子
白息のとどかぬ距離でありにけり 谷口摩耶
白息で来てサツクスをふき鳴らし 高橋博夫
白息を多摩蘭坂に残しけり 伊藤麻美
白息やよく燃えさうな小屋の中 大塚凱
【白息(中七)】
伐折羅吐きたまふ白息なかりけり 阿波野青畝
みほとけのまへ白息のわれかすか 野見山朱鳥
基地の夜や白息ごもりにものいうも 古沢太穂
めざむよりおのが白息纏ひつつ 橋本多佳子
泣きしあとわが白息の豊かなる 橋本多佳子
わが書きし字へ白息をかけておく 加藤楸邨
五十とや白息吐いてきよろきよろす 石塚友二
馬の鼻孔の大きさよ白息に濡れ 能村登四郎
マイクロフオン白息強く当てて験す 田川飛旅子
愛盡す妻の白息耳の辺に 小林康治
枯山水見て白息を肥しけり 百合山羽公
わが澄むまで白息かけて鏡拭く 大石悦子
わが身からこの白息ぞオホーツク 大石悦子
山国に来て白息を言ひ合へり 大串章
身籠りてより白息の濃くなれり 木内怜子
この亀裂白息をもて飛べと云ふ 恩田侑布子
【白息(下五)】
未完成の船の奥にて白息吐く 西東三鬼
黒牛の腹の底より白息吐く 殿村莵絲子