【夏の季語】夏の月

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】夏の月

俳句では「」が秋の季語であるため、夏に見える月は「夏の月」と呼び分ける。

三夏に分類されてはいるが、まだ気温の高い夏の夜にあがる月に「涼しさ」を感じるというのが本意ではある。そのため「月涼し」ともいう。

芭蕉の句では〈蛸壺やはかなき夢を夏の月〉が有名。

梅雨」の時期に見える雨雲から顔出すような月は、「梅雨の月」と呼び分ける。


【夏の月(上五)】
夏の月いま上りたるばかりかな 久保田万太郎
夏の月美しきものそれは心 稲畑汀子
夏の月ロールキャベツに白き帯 山口昭男
夏の月あの貧乏人どうしてるかな 平田修
夏の月ムンクの叫びうしろより 阿部宗一郎

【夏の月(中七)】

【夏の月(下五)】
河童の恋する宿や夏の月 与謝蕪村
家は皆海に向ひて夏の月 正岡子規
町々に馬市立つや夏の月 永井荷風
なほ北に行く汽車とまり夏の月 中村汀女
天皇の白髪にこそ夏の月  宇多喜代子
馬の死にでけでけでけと夏の月 攝津幸彦
木をのぼる水こそ清し夏の月 正木ゆう子
いつまでも咎めるごとく夏の月 小田島渚
父の手に負へぬ夜泣きや夏の月 吉田哲二

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