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小満の風や格言カレンダー 菅原雅人【季語=小満(夏)】

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小満の風や格言カレンダー

菅原雅人 


コロナ禍で(野球の)甲子園は中止、代わりに春のセンバツに出場予定だった32校による「甲子園交流試合・2020センバツ」が行われたが、これにあわせて、現代俳句協会青年部の主導により、オンラインで「センバツ!全国高校生即吟俳句選手権」が先ほど開催された。掲句は準決勝の一句(お題は「言」という漢字の詠み込み)である。シンプルな構成だが、「小満」という繊細な季語のチョイスと、「格言カレンダー」というちょっと俗っぽい素材の組み合わせのなかに、俳句的なリアリティが立ち上がってくる。「小満」は立夏から15日目。梅雨に入るより前の清々しい初夏の風が、風通しのいい夏座敷に飾られた「格言カレンダー」を、ひらひらと揺らしているイメージが浮かぶ。「格言」というと石に刻まれるように強固でありそうだが、実際にはそれが、そよ風に吹かれているのが面白い。温故知新かつ自由気ままに、という心持ちが透けて見えてくる一句。(堀切克洋)

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