
【夏の季語=三夏(5-7月)】蛭
湿地帯に棲息する環形動物。
退化によりミミズのようなかたちをしており、人を含めた哺乳流に貼り付いて吸血するものもいるから、人にはとかく嫌われる。
〈人の世や山は山迚蛭が降る〉(一茶)や〈山深し若葉の空に蛭の降る〉(几董)など、俳諧では江戸中・後期から詠まれるようになってきた。ヤマビル研究会が「ヤマビル注意報」を出しているように、吸血性のヤマビルはとくに自治体が注意喚起を行っている。
【蛭(上五)】
蛭ひとつ水縫ふやうに動きけり 花史
蛭のゐる処ときけど渉る 星野立子
蛭殺す杖の丈押し縮めつつ 呉文宗
【蛭(中七)】
人ごゑに山蛭降つてくるといふ 岩岡中正
唇を吸ふちから蛭より習ふべく 中原道夫
ハフハフと泳ぎだす蛭ぼく音痴 池禎章
二の腕も蛭も等しく濡れてをり 田丸千種
【蛭(下五)】
痛痒の極みは快楽蛭療治 西村和子
【ほかの季語と】
蛭泳ぐ余呉湖の田螺蜷黒し 右城暮石
蛭の降る森逃げてきて昼寝覚 柴田奈美