【夏の季語】六月

【夏の季語=仲夏(6月)】六月

俳句で「六月」といえば、一般的には、新暦の「六月」を指す。

日本列島が順番に「梅雨」前線にかかりはじめ、雨の多い時期となる。

爽快な「初夏」からさらに気温と湿度があがっていくとともに、「夏休」もまだ遠く、ふんばりどころという感じのある月でもある。二十四節気でいうと、「芒種」と「夏至」にまたがる。

俳句では何といっても、

六月を奇麗な風の吹くことよ 正岡子規

が有名だが、「寒山落木」で「水無月」に入れてあるので、この「六月」は旧暦のものと見るべきだろう。日清戦争の従軍記者として大陸に渡った帰りに大喀血して死にかけた子規が、なんとか一命を取り留めたあとの詠まれた句である。

なお、「小六月」は初冬のあたたかな日を示す季語で、「小春日和」の傍題である。


【六月(上五)】
六月を奇麗な風の吹くことよ 正岡子規
六月の樹々の光に歩むかな 石井露月
六月の女すわれる荒筵 石田波郷
六月の水辺にわれは水瓶座 文挟夫佐恵
六月や草より低く燐寸使ひ 岡本眸
六月を人類の卵でゐたる 鳥居真里子
六月の雨の港のハワイアン 小川軽舟
六月の雨を見てゐる留学生 柏柳明子
六月の電車の眠くなるひかり 田口茉於
六月に生まれて鈴をよく拾ふ 生駒大祐

【六月(中七)】
鍵穴殖え六月の都市きらきらす 櫛原希伊子

【六月(下五)】
夢に見し人遂に来ず六月尽く 阿部みどり女

【ほかの季語と】
六月の氷菓一盞の別れかな 中村草田男
六月のゼリーにかみなりさま坐る 冬野虹



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