ハイクノミカタ篠崎央子
-
あかくあかくカンナが微熱誘ひけり 高柳重信【季語=カンナ(秋)】
あかくあかくカンナが微熱誘ひけり高柳重信(『高柳重信全句集』) とある海辺の村にカンナ畑があった。盆の頃には、迎火よりも激しい炎を揺らし祖霊も子孫も引き寄せていた。カンナを切り花として売るための畑だ…
-
滴りてふたりとは始まりの数 辻美奈子【季語=滴り(夏)】
滴りてふたりとは始まりの数辻美奈子(『真咲』) 旧約聖書の…
-
みちのくに戀ゆゑ細る瀧もがな筑紫磐井【季語=滝(夏)】
みちのくに戀ゆゑ細る瀧もがな筑紫磐井(『野干』) 〈みちの…
-
告げざる愛地にこぼしつつ泉汲む 恩田侑布子【季語=泳ぐ(夏)】
告げざる愛地にこぼしつつ泉汲む恩田侑布子(『夢洗ひ』) 想…
-
愛されずして沖遠く泳ぐなり 藤田湘子【季語=泳ぐ(夏)】
愛されずして沖遠く泳ぐなり藤田湘子(『途上』) 一緒に泳ぎ…
-
青大将この日男と女かな 鳴戸奈菜【季語=青大将(夏)】
-
むかし吾を縛りし男の子凌霄花 中村苑子【季語=凌霄花(夏)】
-
羅や人悲します恋をして鈴木真砂女【季語=羅(夏)】
-
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂信子【季語=梅雨(夏)】
-
夏みかん酢つぱしいまさら純潔など 鈴木しづ子【季語=夏みかん(夏)】
-
跳ぶ時の内股しろき蟇 能村登四郎【季語=蟇(夏)】
-
天使魚の愛うらおもてそして裏 中原道夫【季語=天使魚(夏)】