ハイクノミカタ篠崎央子
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中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼【季語=桃(秋)】
中年や遠くみのれる夜の桃西東三鬼(『夜の桃』) 10代、20代の頃は時間の流れが遅く感じたものである。いつからか、あんなに長く感じられた1年間があっという間に過ぎるようになった。20代の時間は貴重で…
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太る妻よ派手な夏着は捨てちまへ ねじめ正也【季語=夏着(夏)】
太る妻よ派手な夏着は捨てちまへねじめ正也(『蠅取リボン』)…
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冷房とまる高階純愛の男女残し 金子兜太【季語=冷房(夏)】
冷房とまる高階純愛の男女残し金子兜太(『金子兜太句集』) …
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白衣とて胸に少しの香水を 坊城中子【季語=香水(夏)】
白衣とて胸に少しの香水を坊城中子(『櫓櫂』) 十数年前まで…
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きつかけはハンカチ借りしだけのこと 須佐薫子【季語=ハンカチ(夏)】
きつかけはハンカチ借りしだけのこと須佐薫子(『復活』) 世…
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わが恋人涼しチョークの粉がこぼれ 友岡子郷【季語=涼し(夏)】
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姦通よ夏木のそよぐ夕まぐれ 宇多喜代子【季語=夏木(夏)】
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水喧嘩恋のもつれも加はりて 相島虚吼【季語=水喧嘩(夏)】
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キャベツに刃花嫁衣裳は一度きり 山田径子【季語=キャベツ(夏)】
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さよならと梅雨の車窓に指で書く 長谷川素逝【季語=梅雨(夏)】
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夏帯にほのかな浮気心かな 吉屋信子【季語=夏帯(夏)】
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虎の尾を一本持つて恋人来 小林貴子【季語=虎尾草(夏)】