ハイクノミカタ篠崎央子
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海市あり別れて匂ふ男あり 秦夕美【季語=海市(春)】
海市あり別れて匂ふ男あり秦夕美(『逃世鬼』)海市とは蜃気楼のことで、海面や地表近くの空気の温度差によって、光の屈折が起こり、遠くの船や景色が浮かびあがって見える現象である。普段は見えないものが見える…
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エリックのばかばかばかと桜降る 太田うさぎ【季語=桜(春)】
エリックのばかばかばかと桜降る太田うさぎ(『俳コレ』)昔の…
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卒業す片恋少女鮮烈に 加藤楸邨【季語=卒業(春)】
卒業す片恋少女鮮烈に加藤楸邨(『吹越』)春の別れ、それは卒…
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誰をおもひかくもやさしき雛の眉 加藤三七子【季語=雛(春)】
誰をおもひかくもやさしき雛の眉加藤三七子(『無言詣』)3月…
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海苔あぶる手もとも袖も美しき 瀧井孝作【季語=海苔(春)】
海苔あぶる手もとも袖も美しき瀧井孝作(『海ほほづき』)海苔…
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鳥の恋いま白髪となる途中 鳥居真里子【季語=鳥の恋(春)】
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魚は氷に上るや恋の扉開く 青柳飛【季語=魚氷に上る(春)】
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寒いねと彼は煙草に火を点ける 正木ゆう子【季語=寒い(冬)】
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純愛や十字十字の冬木立 対馬康子【季語=冬木立(冬)】
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冬河原のつぴきならぬ恋ならめ 行方克巳【季語=冬河原(冬)】
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忽然と昭和をはりぬ夕霧忌 森竹須美子【季語=夕霧忌(冬)】
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恋にしてわざと敗けたるかるた哉 羅蘇山人【季語=かるた(新年)】