難読俳句辞典【第11回】「株」


くいぜ

レベル ★★★★

使用頻度 ☆☆☆

<ジャンル> 自然、植物

<類語>杭、杙、切株


【例句】

くひぜ朽ち人失せここら螢草  西村和子


「株を守る」という慣用句があり、これは「かぶをまもる」ではなく「くい(ぜ)をまもる」と読ませます。「株」とは、木を切り倒したあとの根株のこと。「株を守る」は、昔の中国で切り株に当たって死んだウサギを得た農夫が、二匹目を狙って農業を廃業してしまったという故事にちなみ、「ムダなことを大事に守り続ける」ことを表すもの。

しかしこの慣用句以外で、「株」を「くいぜ」と読ませる例はめずらしく、したがって、俳句でもそれほど見かけるわけではありません。「杭」を「くい」と読ませるのは、「くいぜ」の「ぜ」が省略されたものと考えるのが自然なようで、日常的な言い回しである「切株」よりも、歴史性を感じさせる言葉です。


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