【リレー連載】
歳時記のトリセツ(16)/宮本佳世乃さん
このコーナーでは、現役ベテラン俳人のみなさんに、ふだん歳時記をどんなふうに使っているかを、リレー形式でおうかがいしています(好評につきもう少しだけ続けていく予定です)。今回は、茅根知子さんからのリレーで、宮本佳世乃さんです。
【ここまでのリレー】村上鞆彦さん→橋本善夫さん→鈴木牛後さん→中西亮太さん→対中いずみさん→岡田由季さん→大石雄鬼さん→池田澄子さん→干場達矢さん→小津夜景さん→佐藤りえさん→高山れおなさん→関悦史さん→四ッ谷龍さん→茅根知子さん→宮本佳世乃さん
──初めて買った歳時記(季寄せ)は何ですか。いつ、どこで買いましたか。
歳時記は6.7冊持っていますが、じつは自分で買ったものはありません。2002年、はじめて行った句会で友人にプレゼントされ、俳句を始めようと決めました。
──現在、メインで使っている歳時記は何ですか。
その時にもらった『新版・俳句歳時記』。桂信子、金子兜太、草間時彦、廣瀬直人、古沢太穂が監修しています。
──歳時記はどのように使い分けていますか。
普段の作句や句会では『新版・俳句歳時記』。じっくり調べようと思うときは『カラー図版・日本大歳時記(座右版)』を使っています。
吟行などで荷物を減らしたい場合は、結社で作った文庫版『ケータイ歳時記』にしています。
──句会の現場では、どのように歳時記を使いますか。
主には漢字に間違いがないか(笑)。そして袋回しでは目次が大活躍しています。
知らない季語があれば意味や用例を調べます。
──どの歳時記にも載っていないけれど、ぜひこの句は収録してほしいという句があれば、教えてください。大昔の句でも最近の句でも結構です。
う~ん、ないです。
──自分だけの歳時記の楽しみ方やこだわりがあれば、教えていただけますか?
メインで使っている歳時記に載っていない季語があれば、書き足しています。あと、載っていない例句なども。
宮本佳世乃さんの歳時記たち(ご本人提供)
──自分が感じている歳時記への疑問や問題点があれば、教えてください。
主に食べ物のこと。たけのこは春がいいなぁ、とかそれくらいです。
──歳時記に載っていない新しい季語は、どのような基準で容認されていますか。ご自分で積極的に作られることはありますか。
新しい季語というものがどういった基準で歳時記に載るのか分かりませんが、吟行句会でその時期に合っていれば、季語としてよんでいます。
──そろそろ季語として歳時記に収録されてもよいと思っている季語があれば、理由とともに教えてください。
あまりないです。句集を読む際や句会では、季語があるかないかはあまり気にしていません。もちろん、季語が入っている句は、効いているかどうかは読みますが。
──逆に歳時記に載ってはいるけれど、時代に合っていないと思われる季語、あるいは季節分類を再考すべきだと思われる季語はありますか。
たとえば自分が使わない季語があったとしても時代に合っていない、というのはおこがましいかなと。季節分類も、季語が作られたときとは気候などが変わって来ていることもあるでしょうし、まぁ、そんなに気にしてはいません。
──季語について勉強になるオススメの本があったら、理由とともに教えてください。
ともに白井明大さんの
『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし― 増補新装版』、
両方とも穏やかでゆたかな気持ちになる読み物です。
──最後の質問です。無人島に一冊だけ歳時記をもっていくなら、何を持っていきますか。
手荷物がある状態は好きではないのであまり持っていきたくないけれど、『日本大歳時記』でしょうか。枕にも重しにもなるし、大きいから、虫やら何やらと戦えそう。
──以上の質問を聞いてみたい俳人の方がもしいれば、ご紹介いただけますか。テレフォンショッキング形式で…
相子智恵さん。ここ何年も会えていないけれど、個人的には心の支えというか、頼れるな~と思っている力強い方です。
──それでは次回は、相子智恵さんにお願いしたいと思います。本日は、ありがとうございました。
【今回、ご協力いただいた俳人は……】
宮本佳世乃(みやもと・かよの)さん
「炎環」同人、同人誌「オルガン」編集担当、「豆の木」に参加。
合同句集『きざし』(2010、ふらんす堂)、第一句集『鳥飛ぶ仕組み』(2012、現代俳句協会)、第二句集『三〇一号室』(2019、港の人)。
第11回炎環新人賞、第19回炎環賞、第35回現代俳句新人賞。
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】