ハイクノミカタ | セクト・ポクリット

東京や涙が蟻になってゆく　峠谷清広【季語＝蟻（夏）】

先生が瓜盗人でおはせしか　高浜虚子【季語＝瓜（夏）】

蛍火や飯盛女飯を盛る　山口青邨【季語＝蛍火（夏）】

鵺一羽はばたきおらん裏銀河　安井浩司

少年の雨の匂ひやかぶと虫　石寒太【季語＝かぶと虫（夏）】

ゴルファーを一擲したる雷雨かな　鈴木油山【季語＝雷雨（夏）】

汗の女体に岩手山塊殺到す　加藤楸邨【季語＝汗（夏）】

金魚大鱗夕焼の空の如きあり　松本たかし【季語＝金魚（夏）】

缶ビールあけて東京ひびきけり　渡辺一二三【季語＝缶ビール（夏）】

あひふれしさみだれ傘の重かりし　中村汀女【季語＝五月雨（夏）】

坂道をおりる呪術なんかないさ　下村槐太

白玉やバンド解散しても会ふ　黒岩徳将【季語＝白玉（夏）】

彼が下げ夕張メロン上京す　太田うさぎ【季語＝メロン（夏）】

楽譜読めぬ子雲をつれて親夏雲　秋元不死男【季語＝夏雲（夏）】

鯖買ふと決めて出てゆく茂かな　岩田由美【季語＝鯖・茂（夏）】

恋人はめんどうな人さくらんぼ　畑耕一【季語＝さくらんぼ（夏）】

妹に告げきて燃える海泳ぐ　郡山淳一

樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ　日野草城【季語＝梅雨入（夏）】

頭を垂れて汗の男ら堂に満つ　高山れおな【季語＝汗（夏）】

街の縮図が薔薇挿すコップの面にあり　原子公平【季語＝薔薇（夏）】

夕飯よけふは昼寝をせぬままに　木村定生【季語＝昼寝（夏）】

花いばら髪ふれあひてめざめあふ　小池文子【季語＝花いばら（夏）】

すきとおるそこは太鼓をたたいてとおる　阿部完市

留守の家の金魚に部屋の灯を残し　稲畑汀子【季語＝金魚（夏）】

鳥不意に人語を発す更衣　有馬朗人【季語＝更衣（夏）】

子燕のこぼれむばかりこぼれざる　小澤實【季語＝子燕（夏）】

赤んぼころがり昼寝の漁婦に試射砲音　古沢太穂【季語＝昼寝（夏）】

早乙女のもどりは眼鏡掛けてをり　鎌田恭輔【季語＝早乙女（夏）】

性あらき郡上の鮎を釣り上げて　飴山實【季語＝鮎（夏）】

身支度は誰より早く旅涼し　阪西敦子【季語＝涼し（夏）】

橋立も歩けば長し松落葉　高林蘇城【季語＝松落葉（夏）】

マンホール出て蝙蝠となる男　小浜杜子男【季語＝蝙蝠（夏）】

万緑やご飯のあとのまたご飯　宮本佳世乃【季語＝万緑（夏）】

菱形に赤子をくるみ夏座敷　対中いずみ【季語＝夏座敷（夏）】

婚約とは二人で虹を見る約束　山口優夢【季語＝虹（夏）】

蛇を知らぬ天才とゐて風の中　鈴木六林男【季語＝蛇（夏）】

しろがねの盆の無限に夏館　小山玄紀【季語＝夏館（夏）】

夕餉まで少し間のあり額の花　片山由美子【季語＝額の花（夏）】

ラベンダー添へたる妻の置手紙　内堀いっぽ【季語＝ラベンダー（夏）】

青嵐神社があったので拝む　池田澄子【季語＝青嵐（夏）】

夜の子の明日の水着を着てあるく　森賀まり【季語＝水着（夏）】

妻となる人五月の波に近づきぬ　田島健一【季語＝五月（夏）】

白馬の白き睫毛や霧深し　小澤青柚子【季語＝霧（秋）】

泉に手浸し言葉の湧くを待つ　大串章【季語＝泉（夏）】

仕切り繰返す間も掃き五月場所　鷹羽狩行【季語＝五月場所（夏）】

パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑　高田風人子【季語＝薄暑（夏）】

主われを愛すと歌ふ新樹かな　利普苑るな【季語＝新樹（夏）】

本の背は金の文字押し胡麻の花　田中裕明【季語＝胡麻の花（夏）】

煌々と渇き渚・渚をずりゆく艾　赤尾兜子【季語＝艾（春）】

メロン食ふたちまち湖を作りつつ　鈴木総史【季語＝メロン（夏）】

熟れ麦はほろびのひかり夕日また　石原舟月【季語＝熟れ麦（夏）】

しまうまがシャツ着て跳ねて夏来る　富安風生【季語＝夏来る（夏）】

捩花の誤解ねぢれて空は青　細谷喨々【季語＝捩花（夏）】

今年の蠅叩去年の蠅叩　山口昭男【季語＝蠅叩（夏）】

かんぱちも乗せて離島の連絡船　西池みどり【季語＝かんぱち（夏）】

再縁といへど目出度し桜鯛　麻葉【季語＝桜鯛（春）】

さうらしく見えてだんだん鴉の巣　大畑善昭【季語＝鴉の巣（春）】

一つづつ包むパイ皮春惜しむ　代田青鳥【季語＝春惜しむ（春）】

たくさんのお尻の並ぶ汐干かな　杉原祐之【季語＝汐干（春）】

わが家の見えて日ねもす蝶の野良　佐藤念腹【季語＝蝶（春）】

抱きしめてもらへぬ春の魚では　夏井いつき【季語＝春の魚（春）】

古池やにとんだ蛙で蜘蛛るTELかな　加藤郁乎

土のこと水のこと聞き苗を買ふ　渡部有紀子【季語＝苗を買ふ（春）】

浜風のほどよき強さ白子干す　橋川かず子【季語＝白子干す（春）】

春の夢魚からもらふ首飾り　井上たま子【季語＝春の夢（春）】

飛んでゐる蝶にいつより蜂の影　中西夕紀【季語＝蝶・蜂（春）】

春惜しみつゝ蝶々におくれゆく三宅清三郎【季語＝春惜む・蝶々（春）】

啜り泣く浅蜊のために灯を消せよ　磯貝碧蹄館【季語＝浅蜊（春）】

銀座明るし針の踵で歩かねば　八木三日女

大空へ解き放たれし燕かな　前北かおる【季語＝燕（春）】

うららかや空より青き流れあり　阿部みどり女【季語＝うららか（春）】

春菊や料理教室みな男　仲谷あきら【季語＝春菊（春）】

無駄足も無駄骨もある苗木市　仲寒蟬【季語＝苗木市（春）】

朝寝楽し障子と壺と白ければ三宅清三郎【季語＝朝寝（春）】

象の足しづかに上る重たさよ　島津亮

花散るや金輪際のそこひまで　池田瑠那【季語＝花散る（春）】

蜃気楼博士ばかりが現れし　阪西敦子【季語＝蜃気楼（春）】

なにがなし善きこと言はな復活祭　野澤節子【季語＝復活祭（春）】

白魚の目に哀願の二つ三つ　田村葉【季語＝白魚（春）】

東風を負ひ東風にむかひて相離る三宅清三郎【季語＝東風（春）】

海市あり別れて匂ふ男あり　秦夕美【季語＝海市（春）】

三角形の　黒の物体の　裏側の雨　富沢赤黄男

さくら仰ぎて雨男雨女　山上樹実雄【季語＝桜（春）】

山桜見て居ればつく渡舟かな　波多野晋平【季語＝山桜（春）】

麗しき春の七曜またはじまる　山口誓子【季語＝春（春）】

初花や竹の奥より朝日かげ川端茅舎【季語＝初花（春）】

エリックのばかばかばかと桜降る　太田うさぎ【季語＝桜（春）】

かくも濃き桜吹雪に覚えなし　飯島晴子【季語＝桜吹雪（春）】

春雷の一喝父の忌なりけり　太田壽子【季語＝春雷（春）】

雁かへる方や白鷺城かたむく　萩原麦草【季語＝雁帰る（春）】

百合のある方と狐のゐる方と　小山玄紀

いつまでもからだふるへる菜の花よ　田中裕明【季語=菜の花（春）】　

蕎麦碾くや月山はうつすらと雪　佐藤郁良【季語＝雪（冬）】　

大風の春葱畠真直来よ　飯島晴子【季語＝春葱（春）】

あり余る有給休暇鳥の恋　広渡敬雄【季語＝鳥の恋（春）】

流氷や宗谷の門波荒れやまず　山口誓子【季語＝流氷（春）】

青空の暗きところが雲雀の血　高野ムツオ【季語＝雲雀（春）】

金色の種まき赤児がささやくよ　寺田京子【季語=種蒔（春）】　

牡丹ていっくに蕪村ずること二三片　加藤郁乎　　

二人でかぶる風折烏帽子うぐひすとぶ　飯島晴子【季語＝鶯（春）】

東京や涙が蟻になってゆく 峠谷清広 【季語＝蟻（夏）】

先生が瓜盗人でおはせしか 高浜虚子【季語＝瓜（夏）】

蛍火や飯盛女飯を盛る 山口青邨【季語＝蛍火（夏）】

鵺一羽はばたきおらん裏銀河 安井浩司

少年の雨の匂ひやかぶと虫 石寒太【季語＝かぶと虫（夏）】

ゴルファーを一擲したる雷雨かな 鈴木油山【季語＝雷雨（夏）】

汗の女体に岩手山塊殺到す 加藤楸邨【季語＝汗（夏）】

金魚大鱗夕焼の空の如きあり 松本たかし【季語＝金魚（夏）】

缶ビールあけて東京ひびきけり 渡辺一二三【季語＝缶ビール（夏）】

あひふれしさみだれ傘の重かりし 中村汀女【季語＝五月雨（夏）】

坂道をおりる呪術なんかないさ 下村槐太

白玉やバンド解散しても会ふ 黒岩徳将【季語＝白玉（夏）】

彼が下げ夕張メロン上京す 太田うさぎ【季語＝メロン（夏）】

楽譜読めぬ子雲をつれて親夏雲 秋元不死男【季語＝夏雲（夏）】

鯖買ふと決めて出てゆく茂かな 岩田由美【季語＝鯖・茂（夏）】

恋人はめんどうな人さくらんぼ 畑耕一【季語＝さくらんぼ（夏）】

妹に告げきて燃える海泳ぐ 郡山淳一

樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ 日野草城【季語＝梅雨入（夏）】

頭を垂れて汗の男ら堂に満つ 高山れおな【季語＝汗（夏）】

街の縮図が薔薇挿すコップの面にあり 原子公平 【季語＝薔薇（夏）】

夕飯よけふは昼寝をせぬままに 木村定生【季語＝昼寝（夏）】

花いばら髪ふれあひてめざめあふ 小池文子【季語＝花いばら（夏）】

すきとおるそこは太鼓をたたいてとおる 阿部完市

留守の家の金魚に部屋の灯を残し 稲畑汀子【季語＝金魚（夏）】

鳥不意に人語を発す更衣 有馬朗人【季語＝更衣（夏）】

子燕のこぼれむばかりこぼれざる 小澤實【季語＝子燕（夏）】

赤んぼころがり昼寝の漁婦に試射砲音 古沢太穂【季語＝昼寝（夏）】

早乙女のもどりは眼鏡掛けてをり 鎌田恭輔【季語＝早乙女（夏）】

性あらき郡上の鮎を釣り上げて 飴山實【季語＝鮎（夏）】

身支度は誰より早く旅涼し 阪西敦子【季語＝涼し（夏）】

橋立も歩けば長し松落葉 高林蘇城【季語＝松落葉（夏）】

マンホール出て蝙蝠となる男 小浜杜子男【季語＝蝙蝠（夏）】

万緑やご飯のあとのまたご飯 宮本佳世乃【季語＝万緑（夏）】

菱形に赤子をくるみ夏座敷 対中いずみ【季語＝夏座敷（夏）】

婚約とは二人で虹を見る約束 山口優夢【季語＝虹（夏）】

蛇を知らぬ天才とゐて風の中 鈴木六林男【季語＝蛇（夏）】

しろがねの盆の無限に夏館 小山玄紀【季語＝夏館（夏）】

夕餉まで少し間のあり額の花 片山由美子【季語＝額の花（夏）】

ラベンダー添へたる妻の置手紙 内堀いっぽ【季語＝ラベンダー（夏）】

青嵐神社があったので拝む 池田澄子【季語＝青嵐（夏）】

夜の子の明日の水着を着てあるく 森賀まり【季語＝水着（夏）】

妻となる人五月の波に近づきぬ 田島健一【季語＝五月（夏）】

白馬の白き睫毛や霧深し 小澤青柚子【季語＝霧（秋）】

泉に手浸し言葉の湧くを待つ 大串章【季語＝泉（夏）】

仕切り繰返す間も掃き五月場所 鷹羽狩行【季語＝五月場所（夏）】

パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑 高田風人子【季語＝薄暑（夏）】

主われを愛すと歌ふ新樹かな 利普苑るな【季語＝新樹（夏）】

本の背は金の文字押し胡麻の花 田中裕明【季語＝胡麻の花（夏）】

煌々と渇き渚・渚をずりゆく艾 赤尾兜子【季語＝艾（春）】

メロン食ふたちまち湖を作りつつ 鈴木総史【季語＝メロン（夏）】

熟れ麦はほろびのひかり夕日また 石原舟月【季語＝熟れ麦（夏）】

しまうまがシャツ着て跳ねて夏来る 富安風生【季語＝夏来る（夏）】

捩花の誤解ねぢれて空は青 細谷喨々【季語＝捩花（夏）】

今年の蠅叩去年の蠅叩 山口昭男【季語＝蠅叩（夏）】

かんぱちも乗せて離島の連絡船 西池みどり【季語＝かんぱち（夏）】

再縁といへど目出度し桜鯛 麻葉【季語＝桜鯛（春）】

さうらしく見えてだんだん鴉の巣 大畑善昭【季語＝鴉の巣（春）】

一つづつ包むパイ皮春惜しむ 代田青鳥【季語＝春惜しむ（春）】

たくさんのお尻の並ぶ汐干かな 杉原祐之【季語＝汐干（春）】

わが家の見えて日ねもす蝶の野良 佐藤念腹【季語＝蝶（春）】

抱きしめてもらへぬ春の魚では 夏井いつき【季語＝春の魚（春）】

古池やにとんだ蛙で蜘蛛るTELかな 加藤郁乎

土のこと水のこと聞き苗を買ふ 渡部有紀子【季語＝苗を買ふ（春）】

浜風のほどよき強さ白子干す 橋川かず子【季語＝白子干す（春）】

春の夢魚からもらふ首飾り 井上たま子【季語＝春の夢（春）】

飛んでゐる蝶にいつより蜂の影 中西夕紀【季語＝蝶・蜂（春）】

春惜しみつゝ蝶々におくれゆく 三宅清三郎【季語＝春惜む・蝶々（春）】

啜り泣く浅蜊のために灯を消せよ 磯貝碧蹄館【季語＝浅蜊（春）】

銀座明るし針の踵で歩かねば 八木三日女

大空へ解き放たれし燕かな 前北かおる【季語＝燕（春）】

うららかや空より青き流れあり 阿部みどり女【季語＝うららか（春）】

春菊や料理教室みな男 仲谷あきら【季語＝春菊（春）】

無駄足も無駄骨もある苗木市 仲寒蟬【季語＝苗木市（春）】

朝寝楽し障子と壺と白ければ 三宅清三郎【季語＝朝寝（春）】

象の足しづかに上る重たさよ 島津亮

花散るや金輪際のそこひまで 池田瑠那【季語＝花散る（春）】

蜃気楼博士ばかりが現れし 阪西敦子【季語＝蜃気楼（春）】

なにがなし善きこと言はな復活祭 野澤節子【季語＝復活祭（春）】

白魚の目に哀願の二つ三つ 田村葉【季語＝白魚（春）】

東風を負ひ東風にむかひて相離る 三宅清三郎【季語＝東風（春）】

東京や涙が蟻になってゆく　峠谷清広【季語＝蟻（夏）】

先生が瓜盗人でおはせしか　高浜虚子【季語＝瓜（夏）】

蛍火や飯盛女飯を盛る　山口青邨【季語＝蛍火（夏）】

鵺一羽はばたきおらん裏銀河　安井浩司

少年の雨の匂ひやかぶと虫　石寒太【季語＝かぶと虫（夏）】

ゴルファーを一擲したる雷雨かな　鈴木油山【季語＝雷雨（夏）】

汗の女体に岩手山塊殺到す　加藤楸邨【季語＝汗（夏）】

金魚大鱗夕焼の空の如きあり　松本たかし【季語＝金魚（夏）】

缶ビールあけて東京ひびきけり　渡辺一二三【季語＝缶ビール（夏）】

あひふれしさみだれ傘の重かりし　中村汀女【季語＝五月雨（夏）】

坂道をおりる呪術なんかないさ　下村槐太

白玉やバンド解散しても会ふ　黒岩徳将【季語＝白玉（夏）】

彼が下げ夕張メロン上京す　太田うさぎ【季語＝メロン（夏）】

楽譜読めぬ子雲をつれて親夏雲　秋元不死男【季語＝夏雲（夏）】

鯖買ふと決めて出てゆく茂かな　岩田由美【季語＝鯖・茂（夏）】

恋人はめんどうな人さくらんぼ　畑耕一【季語＝さくらんぼ（夏）】

妹に告げきて燃える海泳ぐ　郡山淳一

樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ　日野草城【季語＝梅雨入（夏）】

頭を垂れて汗の男ら堂に満つ　高山れおな【季語＝汗（夏）】

街の縮図が薔薇挿すコップの面にあり　原子公平【季語＝薔薇（夏）】

夕飯よけふは昼寝をせぬままに　木村定生【季語＝昼寝（夏）】

花いばら髪ふれあひてめざめあふ　小池文子【季語＝花いばら（夏）】

すきとおるそこは太鼓をたたいてとおる　阿部完市

留守の家の金魚に部屋の灯を残し　稲畑汀子【季語＝金魚（夏）】

鳥不意に人語を発す更衣　有馬朗人【季語＝更衣（夏）】

子燕のこぼれむばかりこぼれざる　小澤實【季語＝子燕（夏）】

赤んぼころがり昼寝の漁婦に試射砲音　古沢太穂【季語＝昼寝（夏）】

早乙女のもどりは眼鏡掛けてをり　鎌田恭輔【季語＝早乙女（夏）】

性あらき郡上の鮎を釣り上げて　飴山實【季語＝鮎（夏）】

身支度は誰より早く旅涼し　阪西敦子【季語＝涼し（夏）】

橋立も歩けば長し松落葉　高林蘇城【季語＝松落葉（夏）】

マンホール出て蝙蝠となる男　小浜杜子男【季語＝蝙蝠（夏）】

万緑やご飯のあとのまたご飯　宮本佳世乃【季語＝万緑（夏）】

菱形に赤子をくるみ夏座敷　対中いずみ【季語＝夏座敷（夏）】

婚約とは二人で虹を見る約束　山口優夢【季語＝虹（夏）】

蛇を知らぬ天才とゐて風の中　鈴木六林男【季語＝蛇（夏）】

しろがねの盆の無限に夏館　小山玄紀【季語＝夏館（夏）】

夕餉まで少し間のあり額の花　片山由美子【季語＝額の花（夏）】

ラベンダー添へたる妻の置手紙　内堀いっぽ【季語＝ラベンダー（夏）】

青嵐神社があったので拝む　池田澄子【季語＝青嵐（夏）】

夜の子の明日の水着を着てあるく　森賀まり【季語＝水着（夏）】

妻となる人五月の波に近づきぬ　田島健一【季語＝五月（夏）】

白馬の白き睫毛や霧深し　小澤青柚子【季語＝霧（秋）】

泉に手浸し言葉の湧くを待つ　大串章【季語＝泉（夏）】

仕切り繰返す間も掃き五月場所　鷹羽狩行【季語＝五月場所（夏）】

パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑　高田風人子【季語＝薄暑（夏）】

主われを愛すと歌ふ新樹かな　利普苑るな【季語＝新樹（夏）】

本の背は金の文字押し胡麻の花　田中裕明【季語＝胡麻の花（夏）】

煌々と渇き渚・渚をずりゆく艾　赤尾兜子【季語＝艾（春）】

メロン食ふたちまち湖を作りつつ　鈴木総史【季語＝メロン（夏）】

熟れ麦はほろびのひかり夕日また　石原舟月【季語＝熟れ麦（夏）】

しまうまがシャツ着て跳ねて夏来る　富安風生【季語＝夏来る（夏）】

捩花の誤解ねぢれて空は青　細谷喨々【季語＝捩花（夏）】

今年の蠅叩去年の蠅叩　山口昭男【季語＝蠅叩（夏）】

かんぱちも乗せて離島の連絡船　西池みどり【季語＝かんぱち（夏）】

再縁といへど目出度し桜鯛　麻葉【季語＝桜鯛（春）】

さうらしく見えてだんだん鴉の巣　大畑善昭【季語＝鴉の巣（春）】

一つづつ包むパイ皮春惜しむ　代田青鳥【季語＝春惜しむ（春）】

たくさんのお尻の並ぶ汐干かな　杉原祐之【季語＝汐干（春）】

わが家の見えて日ねもす蝶の野良　佐藤念腹【季語＝蝶（春）】

抱きしめてもらへぬ春の魚では　夏井いつき【季語＝春の魚（春）】

古池やにとんだ蛙で蜘蛛るTELかな　加藤郁乎

土のこと水のこと聞き苗を買ふ　渡部有紀子【季語＝苗を買ふ（春）】

浜風のほどよき強さ白子干す　橋川かず子【季語＝白子干す（春）】

春の夢魚からもらふ首飾り　井上たま子【季語＝春の夢（春）】

飛んでゐる蝶にいつより蜂の影　中西夕紀【季語＝蝶・蜂（春）】

春惜しみつゝ蝶々におくれゆく三宅清三郎【季語＝春惜む・蝶々（春）】

啜り泣く浅蜊のために灯を消せよ　磯貝碧蹄館【季語＝浅蜊（春）】

銀座明るし針の踵で歩かねば　八木三日女

大空へ解き放たれし燕かな　前北かおる【季語＝燕（春）】

うららかや空より青き流れあり　阿部みどり女【季語＝うららか（春）】

春菊や料理教室みな男　仲谷あきら【季語＝春菊（春）】

無駄足も無駄骨もある苗木市　仲寒蟬【季語＝苗木市（春）】

朝寝楽し障子と壺と白ければ三宅清三郎【季語＝朝寝（春）】

象の足しづかに上る重たさよ　島津亮

花散るや金輪際のそこひまで　池田瑠那【季語＝花散る（春）】

蜃気楼博士ばかりが現れし　阪西敦子【季語＝蜃気楼（春）】

なにがなし善きこと言はな復活祭　野澤節子【季語＝復活祭（春）】

白魚の目に哀願の二つ三つ　田村葉【季語＝白魚（春）】

東風を負ひ東風にむかひて相離る三宅清三郎【季語＝東風（春）】