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薄氷の筥の中なる逢瀬かな 大木孝子【季語=薄氷(春)】
薄氷の筥(はこ)の中なる逢瀬かな大木孝子(『柞繭』) 梅の咲く庭園の池が薄い氷で覆われているのを見たことがある。春の氷は気泡を含まないため透明で表面にはいくつもの風の筋が交差している。ひと目で壊れや…
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夕空や日のあたりたる凧一つ 高野素十【季語=凧(春)】
夕空や日のあたりたる凧一つ高野素十))やれやれ、とほっとし…
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特定のできぬ遺体や春の泥 高橋咲【季語=春の泥(春)】
特定のできぬ遺体や春の泥高橋 咲(神奈川大学広報委員会編『17音の青春2…
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シャボン玉吹く何様のような顔 斉田仁【季語=石鹸玉(春)】
シャボン玉吹く何様のような顔斉田仁))ふつう、「〇様のよう…
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炎ゆる 琥珀の/神の/掌の 襞/ひらけば/開く/歴史の 喪章 湊喬彦
炎ゆる 琥珀の神の 掌(て)の 襞 ひらけば …
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死はいやぞ其きさらぎの二日灸 正岡子規【季語=二日灸(春)】
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橘や蒼きうるふの二月尽 三橋敏雄【季語=二月尽(春)】
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鳥の恋漣の生れ続けたる 中田尚子【季語=鳥の恋(春)】
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見てゐたる春のともしびゆらぎけり 池内たけし【季語=春灯(春)】
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杜甫にして余寒の詩句ありなつかしき 森澄雄【季語=余寒(春)】
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おそろしき一直線の彼方かな 畠山弘
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浅春の岸辺は龍の匂ひせる 対中いずみ【季語=亀浅春(春)】