【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年12月分】


セクト・ポクリットでは2021年1月より、「コンゲツノハイク」をはじめました。前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から「(最大)7句」を推薦いただき、掲出するコーナーです。今月は、30結社にご参加いただきました。ご協力ありがとうございます。

このページの句のなかから、推しの一句を選んでご鑑賞いただく読者参加型コーナー「コンゲツノハイクを読む」、12月20日締切です。どなたでもご参加いただけますので、詳しくはリンク先をご覧ください。来月分のコンゲツノハイク(12月31日締切)については、こちらのフォームからご投稿ください


コンゲツノハイク 2022年12月
(2022年11月刊行分)

今月の参加結社(30)=「秋草」「いには」「伊吹嶺」「炎環」「円虹」「火星」「かつらぎ」「銀化」「銀漢」「雲の峰」「櫟」「澤」「磁石」「秋麗」「青山」「鷹」「たかんな」「橘」「田」「天穹」「南風」「濃美」「ふよう」「ホトトギス」「街」「松の花」「むじな」「森の座」「雪華」「楽園」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2022年12月号(通巻156号)>
干柿に食ひ入る縄のかわきかな 山口昭男
菊人形勝海舟をまつたうす 渡辺一二三
大茅の輪鏡のやうに入りけり 西江友里
ゐのこづちこれは怒つていい場面 対中いずみ
石鹼のきれいに痩せて秋の風 山口遼也
蓮の実の飛んで映画のなかは雨 水上ゆめ
清張の厚き唇いぼむしり 小濱准子


「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2022年12月号(通巻171号)>
輪を描けばとびはとんびに秋愉し 村上喜代子
新聞紙一枚ほどのそぞろ寒 田中麻衣
秋暑し個人情報てふ配慮 吉岡麻琴
夫と子の通訳をして秋灯 橘内訓子
つまづきの始めの除算みみず鳴く 辻忠樹 


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2022年11月号(通巻293号)>
柚子坊の玉とはなれず反り返る 河原地英武
ひたひたと岩打つ波や初秋なる 栗田やすし
今朝秋の風と乗り込む路線バス 関根切子
穏やかな厄日の夕べ菜を茹づる 久野和子
目を瞑る蜥蜴少女に撫でられて 加藤剛司
枝豆を湯掻けば酔うてみたき宵 酒井伸代
老犬の尻尾に寝癖今日の秋 小川ミヅホ


「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2022年11月号(通巻509号)>
遙かなる革命ひとつ烏瓜 石寒太
秋蝶や盡きぬファッションハナエ・モリ 古指秀一
しんがりやただ一本の女郎花 元川よしひろ
花芯よりはたらきありの出るは出るは 三井つう
空澄むや自動芝刈り機回転 小熊幸
天の川鳶職人の募集中 丑山霞外
いなつるび松井冬子の画集かな 前島きんや


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<2022年12月号336号>
潮風に吹かれしばらく月の浜  江原由美子
ペン先に影の生れし今朝の秋 真鍋孝子
穴惑しつぽするりと消え失せる  酒井八重子
島影に鯊釣舟の舵を変え  つげよう一
鰯雲二人てんでの畑仕事  北川秀子
友の声露けき夜の電話口  鳥居慶子
秋宵やワイングラスを灯にかざす  田畑麻紀


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2022年11月号(通巻994号)>
遊ばむと来し大花野みな無口 山尾玉藻
鳥渡る堀江謙一白髪に 山田美恵子
干し物の竿余すなし終戦日 湯谷良
寄せ来ては大き息吐く土用波 坂口夫佐子
潟とほく海のしりぞく秋の暮 蘭定かず子
地虫鳴く役行者の下駄辺り 西村節子
刈り伏せて嫗振り向く盆の道 福盛孝明


「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2022年11月号(通巻1115号)>
冷酒酌む地縁俳縁語りつゝ 森田純一郎
小社にし大きな茅の輪潜らしむ 平田冬か
水着脱ぐワイキキの砂こぼしもし 村手圭子
梅雨じめり和紙にも墨の重さかな 大久保佐貴玖
急流をきゆつと絞りて滝落つる 木村由希子
灼けてをりマルハとのみの捕鯨砲 内田二歩
ワルツより難しステップ踊初む 吉川やよい


「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2022年12月号(通巻291号)>
威し銃鳴るまで待つて驚けり 田口武
水圧に身を保ちたる新豆腐 潮田幸司
長き夜は堀つた墓穴の中にゐる 大年厨
老いと死の間は狭し夜は長し 朝井はるよ
南瓜四分の一真実は一つなる 西村榮一
流星の恋へと落ちてゆく速度 佐藤由梨
初嵐めくりて赤の遊び紙 板倉裕子



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2022年12月号(通巻142号)>
文鎮のやうな富嶽や立版古   伊藤伊那男
新涼や森のやうなる書肆に居て  本庄康代
蔓曳けば網曳くごとく真葛原    伊東岬
闘はぬ海賊船の生ビール     日山典子
数式がページを跨ぐ夜長かな    堀切克洋
龍淵に潜む釣人糸を垂る      中村孝哲
筆勢の強さ弱さも大文字       山田茜


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2022年11月号(通巻377号)>
藤代の王子訪ぬる鵙日和    原  茂美
膝の児に相槌を打つ良夜かな  中川 晴美
酔芙蓉しづかに命たたみ行く  横田  恵
そそり立つ柱状節理水澄めり  岡山 裕美
指の先までしなやかに風の盆  市川美智代
蜩に暮れねばならぬ空ありぬ  遠藤  玲
ちちろ鳴く呼出しのなき当直日 中尾 優子


「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2022年11月号(通巻350号)>
一喝に鳴き潜まざるつくつくし 櫛部天思
紅はちす仏陀のもたぬ土踏まず 杉山望
蟬鳴くや一つ二つの愚痴混ぜて 宍野宏治
卵溶くせつかちな箸残暑なほ 菊池文恵
うちの子とおもふ守宮の太りけり 田村律子
原つぱを音で切り取る鬼やんま 合志伊和雄
朝顔に問ふ戦争の行く末を 種谷良二


「里」(代表=島田牙城)【2000年創刊・兵庫県尼崎市】
<2022年11月号(通巻206号)>
晩秋の川の流れる音だけが 石田遊起
まんじゆしやげ向かうが見える穴の板 上田信治
憂国という病あり林檎剥く 上野遊馬
濃きに濃き名古屋コーヒー宿の秋 歌代美遥
朝霧や昨日のままのコンバイン 内堀うさ子
コーヒー買ふ豆名月を閉ぢ込めて 大久保 樹
ウリムーのしましま模様秋うらら 月湖


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2022年11月号(通巻272号)>
頭胸腕失せても菩薩月に踊る 小澤實
海の家ことごとく消ゆ杭残し 山口方眼子
遠泳に小舟随伴太鼓打つ 小川正廣
パパイヤや秒で友達できる奴 大堀柔
復員の父白シャツに着替へ泣く 大木圭之介
ぎうぎう鳴らす海ほほづきや長刀形 石田秀子
ゴーヤ生る生るほどに食べ食べきれず 小西保男


「磁石」(主宰=依田善朗よだぜんろう【2021年1月創刊・埼玉県蓮田市】
<2022年11・12月号(通巻12号)>
松は根を宙に持ち上げ涼新た  依田善朗
氷旗干しつつ海の家畳む 守屋明俊
衰へも見せず噴水ふいに果つ 角谷昌子
扇風機ひかり纏めてから止まる 山田径子
選ばれて尻のおほきな茄子の牛 黒澤麻生子
尻張つてざりがにを釣る子どもかな 寺澤 始
新松子玉藻の浦の青を凝り 篠崎央子


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2022年11月号(通巻146号)>
遺されし指輪に祈り後の月 藤田直子
老の手に垂るる稲穂や夕茜 土橋清志
冷酷に白桃は水弾きをり 宝絵馬定
新米を積み上ぐる声弾みけり 市川和雄
仕上がりて待針揃ふ良夜かな 浦城悠紀
肱川の大き曲がりよ城雲忌 疋田美穂
黒板のつくづく黒し野分あと 山田蹴人


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2022年11月号(通巻480号)>
赤とんぼ止まりぬ翅を少し下げ   山崎ひさを
馬房から灯りのもれて星冴ゆる   しなだしん
春惜しむひかりの草のなかにゐて  井越芳子
チェロケース立てかけてありアイスティー  神戸美沙子
すれ違ふとき片蔭をはみ出しぬ   坂東文子
響音を双手に握る滝の前   飯田みよ子
マスクして目の笑ひをり水鉄砲  原 美鈴


「鷹俳句会」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2022年11月号>
炎に顔かがやき鶫嚙(しが)むなり 小川軽舟
灯を漏らすシャッターの裾秋近し 西嶋景子 
谷上り来し朝霧の献花台  折勝家鴨
夕風にさしもの暑さやはらぎぬ 喜納とし子
付喪神(つくもがみ)宿るラジカセ雨の月 飯島白雪
鬱の文字紋章めきぬ秋の雨  亀田浩世
調律のピアノ一音づつ冷ゆる 月の道馨子


「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2022年11月号(通巻359号)>
掃苔やふるさと捨てし者同志 岩津必枝
草虱つけて夕餉に辿り着く 下河原勝
蜩の愁ひ残せる夕茜 大原信子
運動会力走の頬ぶるんぶるん 畑内節子
座布団にのせて瓢箪腰すはる 増島由紀子
明方の雨意の風待つ百日紅 小川三胡
ほてりある一山売りの茄子かな 河村仁美()



たちばな」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2022年12月号(通巻540号)>
無縫塔しづかに乾き韮の花 山口風樹
萩揺れてゆれて白猫あらはるる 尾野恵美
仁王留守寺に鯖雲のしかかる 横山泠子
捨墓に雨の重さの残り菊 寺澤弘忠
雲一つに村は陰りぬ花芒 大塚雅子
理論崩壊背高泡立草茂る 棚橋眞由美
嗄声の友の電話や寝待月 大澤カツ子


(でん)」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2022年12月号(通巻237号)>
絶え間なき河鹿や蒼き黒部川 細川朱雀
肌ばかり見てうち過ぎぬ秋の浜 平野山斗士
歩むなり針金虫の言ふとほり 笠原小百合
山の日の山の無尽に真向ひぬ 石川和生
星月夜ワインボトルの底に山 伊東慶子
爽やかな風の匂ひの馬上かな 後藤梨月子
チ・ヨ・コ・レ・イ・ト六歩上れば秋の雲 佐藤眞由美


天穹(てんきゅう)」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2022年12月号(通巻298号)>
手と足のグーパ体操空高し 安達幸代
送り火を消して濁世のテレワーク 田中国太郎
父も子も路地の町医者草の花 佐藤俊童
手に未だ油の匂ひ夜学の子 久保田雅久
この極暑野良着をくたと脱ぎ捨つる
蜩や黙して語る無言館 松村義隆
敬老日母にほどこす薄化粧 髙野紀子


南風(なんぷう)」(主宰=村上鞆彦(ともひこ)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2022年12月号(通巻949号)>
立ち漕ぎの少年の過ぐ葛の風 山室裕子
葛の蔓引いて力の漲りぬ 新治 功
赤とんぼどこへも往けてここに群る 桑原規之
水晶のなか水動く秋思かな ばんかおり
蕭々とかまきりの血のうすみどり 野村茶鳥
霧の麺麭取り出す霧の袋より 板倉ケンタ
描かれしあと追熟のラ・フランス 窪見れい



「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2022年12月号(通巻165号)>
御嶽の晴を視界に柚子梯子 渡辺純枝
新涼や鉱泉粥の塩気ほど 関谷恭子
半島へスパイのやうに秋蝶来 森川邦子
土くさき壺どつしりと残暑なる 橋本和子
辻踊さびしき家の前を過ぎ 木造朋子
風の盆男踊りは闇を切る 安井洋子
ひらがなをおととにをしへ夜長かな 中島和代


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2022年11月号(通巻93号)>
椅子一つ足し秋麗のテラス席   千々和恵美子
皓皓と月点々と藁ぽつち   貴田将子
それとなく案山子に紅を足す旦那   藤井さわこ
星飛んで指よく動く手話ニュース   渡辺味蕾
衣擦れのごとく秋雨降りはじむ   藤本真弓
少年の林檎をかじる音強し   長岡順子
朝顔の観察日記藍一色   久松明美


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<「2022年12月号(通巻1512号)>
さゆらぎて句碑へ誘ふ合歓の花 稲畑廣太郎
火と水と闇押し合へる鵜飼かな  阪西敦子
森の底よりひたひたと岩清水 山田佳乃 
秋近し叶はぬ旅のひとつあり 進藤剛至
河骨の水持ち上げて咲きにけり 池末朱美
流星に出逢ひしこともホ句の旅 松藤素子
蝉時雨一瞬の黙風抜ける 田中利絵


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<NO.158>
厨から稲架までの距離握り飯  今井聖
八月の自立してゐる米袋   井上郁代
新宿を見渡せる墓地百日紅 木下はるえ
封筒の中のヘアピン秋曇  西生ゆかり
夏服の夫婦入りたる泌尿器科 谷村行海
滅びたる星の光も星月夜   中川克己
水槽に張り付く鱏の口に逢ふ 松野苑子


「松の花」(主宰=松尾隆信たかのぶ【1998年創刊・神奈川県平塚市】
<2022年11月号(通巻299号)>
刀豆のぶらりとさがる西に富士 松尾隆信
天の川握手する手の暖かし 加川澄子
虹鱒ひらり川底の影ひらり 仲村光世
竿灯のしなりて立てる腰の上 木原邦彦
今宵はも肉焼く音の秋暑かな 横山節子
盆の月雲抜けてより月のいろ 佐藤公子
百日紅梢のさきを桃色に 宇賀田洋巳


「むじな」(発行人=浅川芳直)【2017年創刊・宮城県名取市】
<2022年号(通巻6号)>
寒卵殻に小さき印字かな 菅原はなめ
ひざまづく風呂の掃除やそぞろ寒 斉藤志歩
いなづまのしきりを寺へ向かふ人 武元気
日陰の犬が空皿を嗅いでゐる 工藤吹
パフェいつも不確かに立つ大西日 西野結子
元日や夫婦茶碗の艶静か 一関なつみ
引波に珊瑚小蟹のすべりだす 浅川芳直


「森の座」(代表=横澤放川)【2017年創刊・東京都文京区】
<2022年11月号>
花茨青年歩む息しづか 横澤放川
耕され土塗れなる草の花 河野靖
煙色に桶の鰻のうねり合ふ 田山康子
差し入れし指細りゆく泉かな 国松恵子
佞武多笛夕闇を風運び来し 三上悠恵子
ざうざうと大蛇ぬたうつ青田波 田辺ゆかり
母さんのミシンはマシン蝉時雨 林訓子


雪華(ゆきはな)」(主宰=橋本喜夫(よしお)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2022年12月号>
メタバースの街わたむしの無尽蔵 橋本喜夫
案山子倒れて蒼天は鳥の国 柊月子
特急サロベツ行き先はちちろの野 鈴木牛後
さんざめく花虎杖の死すまで花 五十嵐秀彦
堰堤の空のさざなみ群れ蜻蛉 西川良子
八角(とくびれ)の芯まで海やバリと捌く 青山酔鳴
水の旅の終はることなく星月夜 土井探花


「楽園」(主宰=堀田季何)【2021年創刊】
<第2巻第4号(通巻10号)>
西瓜より口を離すや(ポン)と言ふ 姫野理凡
早くはんざきの胸に杭を打ちなさい 平野セイコウ
文鎮の下のましろや終戦日 多緒多緒
落葉搔き残る正気で電話した はちご仔拾
Launige Augäpfel ― Sie schweben mit Flügeln am Himmel 山崎秀貴
バタークリームにつくるプードル鼻は葡萄 町田無鹿
プードルに秋日絡むやカフェオーレ 佐藤知春



【次回の投稿のご案内】

◆応募締切=2022年12月31日
*対象は原則として2022年12月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください

◆配信予定=2023年1月5日

◆投稿先
以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/


【「コンゲツノハイク」のバックナンバー】

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