セクト・ポクリットでは2021年1月より、「コンゲツノハイク」をはじめました。前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から「(最大)7句」を推薦いただき、掲出するコーナーです。今月は、36結社にご参加いただきました!ご参加、ありがとうございます。
このページの句から一句選んで鑑賞する読者参加型コーナー「コンゲツノハイクを読む」は、11月20日締切です。どなたでもご参加いただけますので、詳しくはこちらをご覧ください。
来月分のコンゲツノハイク(11月30日締切)については、こちらのフォームからご投稿ください。
コンゲツノハイク 2021年11月
(2021年10月刊行分)
今月の参加結社(36)=「秋」「秋草」「いには」「炎環」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「銀化」「銀漢」「雲の峰」「櫟」「群青」「澤」「磁石」「秋麗」「青山」「鷹」「たかんな」「滝」「橘」「田」「天穹」「童子」「都市」「南風」「鳰の子」「濃美」「ひろそ火」「ふよう」「ホトトギス」「松の花」「百鳥」「森の座」「街」「雪華」
「秋」(主宰=佐怒賀正美)【1961年創刊・東京都練馬区】
<2021年10月号(通巻598号)>
カタコンベに聖画眩しむ青蜥蜴 阿部まりあ
夜に隠る家家の哀百合ひらく 阿部まりあ
葭切に湖風破れむばかりなり 阿部まりあ
八相の構へ対する小梅の木 齊藤眞理子
ラスボスは小さき老女梅雨館 齊藤眞理子
薔薇のアーチの先は中世ラビリンス 齊藤眞理子
でで虫の分だけ傾ぐ夜のシーソー 中根文子
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2021年11月号(通巻143号)>
正面に坐る孔子や月の秋 山口昭男
唐辛子雁字搦めの赤さかな 岩口まり子
いつまでも浮輪のなかにをりしかな 渡辺一二三
美しく拭きし黒板秋涼し 村上瑠璃甫
秋暑し両掌に鉄棒のにほひ 田邊大学
つつかけで来て耳打を藤袴 小泉和貴子
滝は連続滝音は非連続 宮野しゆん
「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2021年11月号>
浅草をぶらぶら後の更衣 村上喜代子
虫の夜は無理して眠ることもなし 小見恭子
夏手袋最上階のボタン押す 高山絵美
食ぶる音のはしたなけれど熟れトマト 松澤健治
タワマンを建てる建てない立葵 斉藤信一
「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2021年10月号(通巻496号)>
楸邨と越えし九頭竜ダムの夏 石寒太
雲海の中から赤きブルドーザー 山田清明
炎天下島原一揆供養塔 元川よしひろ
みんみんのみんへ一歩よ核反対 山崎彩
みんみんの貸し切りとなり薬師堂 佐藤弥生
離れゐても心通ふ日縷紅草 壬生きりん
ハンカチの薄き母の名たたみけり たむら葉
「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和三年十月一日(第322号)>
途切れなく声なき声の蟻の列 木村英一郎
己が香の重さに開く女王花 竹村あきを
会ひたしと結ばれし文合歓の花 前川和代
どの船も満帆といふ夏の昼 新家月子
片陰を出て一望の海碧し 山﨑重軌
ラムネ飲む目は大空を見詰めつつ 中村高士
廻るだけ廻りでもどる釣忍 森 佳子
「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2021年10月号(通巻32号)>
ラベンダー不意打ちの別れのことば 石橋いろり
向日葵やヒロシマの日もぬっと咲き 竹田昭江
夏シャツの鉤裂き自由からの逃走 新野祐子
アカシアは幼い鶴の匂いする 佐々木宏
昼寝覚め年相応という難問 宮崎斗士
紅葉燃えて明日は遺伝子組み換えて 田中信克
色のない病魔におびえ夏銀河 谷川かつゑ
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2021年10月号(通巻981号)>
さびしいとよほろつつきしゑのこ草 山尾玉藻
打水の音とときをり桶の音 坂口夫佐子
日盛に用足しに出る寂しさは 湯谷良
その顔もその前脚も子蟷螂 五島節子
ごきぶりの日向に追はれ出し誤算 藤田素子
草ぐさを焔のやうに梅雨の蝶 永井喬太
駒鳥の嘴ふるふ森ふるふ 窪田精一郎
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2021年10月号(通巻1102号)>
鉾縄を跨ぎ一喝されにけり 森田純一郎
厩出やまづは風嗅ぎ大地嗅ぐ 平田冬か
かなかなや良き林相を降つてくる 村手圭子
絵と違ふ鳥の出てくる巣箱かな 進藤沙世子
ただ灼けてゐる真昼間の飲屋街 堀康恵
手の届く惑星のやう釣忍 田島かよ
墓洗ふ背広の袖を汚しては 菅原好隆
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2021年11月号(通巻278号)>
新盆のどこか寂しく賑はへり 下村志津子
あの子が欲しい相談しましよ八頭 川本利範
ベランダに蛍となつてゐる時間 佐藤村夫子
修学旅行ビードロの吹き比べ 三村凌霄
疵物にされては困る桃ばかり 土井田晩聖
銀漢や音のみ走るオートバイ 渡邉マミヲ
無器用につける薬とゐのこづち 藤井和恵
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2021年11月号(通巻131号)>
大文字蛤御門に凭れ見る 伊藤伊那男
鰻重を食うて人生折り返す 荻野ゆ佑子
光悦寺風の梳くまで松手入 多田悦子
母の一歩父への一歩盆の道 武井まゆみ
人偲ぶときは目を閉づ夜半の秋 杉阪大和
五十年抜けぬ訛や盆帰省 中山桐里
ゆらめきに芯あるごとく芋の露 市川蘆舟
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2021年10月号(通巻364号)>
秋の夜や兄の形見のガラスペン 朝妻力
送り梅雨鬼の足跡てふ窪み 川野喜代子
生醬油の弾かれさうな新豆腐 志々見久美
一本に一願千の胡瓜を封じけり 福田キサ子
友と祝ぐ誕辰卒寿涼新た 荒木有隣
国盗りの城をそびらに鵜飼舟 藤原俊朗
半切の箍のゆるめる暑さかな 松本すみえ
「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2021年10月号(通巻337号)>
だまし絵にだまされにゆく夏休 櫛部天思
夏の夜の風と無呼吸症候群 井門忠士
蟾強かヒトは愚かや戦なほ 種谷良二
断層めくメロンの網目水の星 室達朗
ごきぶりと一緒に昇るエレベータ 合志伊和雄
栓抜きは抽斗の奥送り梅雨 三瀬直子
理屈などどうでもよくて西瓜割り 児島亮介
「群青」(代表=佐藤郁良・櫂未知子)【2013年創刊・東京】
<2021年10月号(通巻45号)>
力抜くことも大切水中花 碩真由美
白粥にさみどり映えて避暑の宿 近藤和奏
白木槿明日の服を畳み置き 川島ひろの
井戸水に放つ白さや新豆腐 大槻紀子
空港にピアノがひとつ夏休 塩崎帆高
蠅の目に吾が魂胆の映りけり 吉沢道夫
耳の骨まで月光の襲ひ来る 永山智郎
ハイビーム消して蛍へ突込みぬ 岩田奎
「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2021年10月号(通巻259号)>
気泡の中鮎光るなり飛び込めば 小澤 實
キャベツ売場に外葉用ゴミ袋 天野正子
自称して叡智人ひでり星 池田瑠那
落ちし汗モップに拭くやバスケ部員 戸川由紀子
るあんぱばーんるあんぱばーん遠花火 光本蕃茄
向日葵の種採る靴に踏みつけて 森山くるみ
裸足の子裸足の父の肩の上 藤田敏弘
「磁石」(主宰=依田善朗)【2021年1月創刊・埼玉県蓮田市】
<2021年9月号(通巻5号)>
土踏まぬ日々妻痩せて更衣 依田善朗
眼科医のくまなく覗く我が銀河 守屋明俊
陶枕にをさまるほどの俳諧ぞ 角谷昌子
数字数字数字のニュース梅雨兆す 新海あぐり
内臓の冷めてくる夜や蛍籠 坂田晃一
あぢさゐや翳りて色の定まりぬ 吉田祥子
検索の履歴消したる太宰の忌 寺澤 始
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2021年10月号(通巻133号)>
居留地に落ちて地の色銀杏の実 藤田直子
潮騒の湿る砂丘や実はまなす 大郷石秋
金魚玉余命を夢の中に生き 市村栄理
一本の一千萬の門火かな 外池拓人
向かうでも患者笑はせ瓜の馬 三輪真子
一秒の大差を泣けり夏五輪 池田章
真菰馬祭ふたたび運び来よ 南出ひろみ
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2021年10月号(通巻467号)>
定刻に迎への車菊日和 山崎ひさを
ゆふぐれの小富士のごとく藁こづみ しなだしん
醜草の露のひかりを踏み歩く 井越芳子
錆色はすがれのあかし朴の花 山本洋子
冷し馬曳上ぐるとき尻を押す 東畑孝子
ふるさとは電車ひと駅夏の月 神戸美沙子
水匂ふ腐草螢と為る夕べ 坂東文子
「鷹俳句会」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2021年11月号>
雲上にひらく機内誌ひややかに 小川軽舟
墓石みな赤心に照り田水沸く 布施伊夜子
出港を待たず去りけり秋日傘 西山純子
シャツの袖あはせて畳む長崎忌 安食亨子
蜩の森出戻りの子と歩く 木村隆由季
火蛾払ひ薬臭の身を持て余す 加儀真理子
長き夜や眠れぬ時間のしかかる 齋藤伸
「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2021年10月号(通巻346号)>
帽子ごと遺品となりぬ赤い羽根 吉田千嘉子
診療船着くオリーブの咲く島へ 難波政子
サングラスずらして色を確かむる 小野寺和子
家族みな揃ひし夜のメロンかな 北村貞美
灯台の暮色まみれや実はまなす 大内鉄幹
蟬しぐれ重しと思ふ朝かな 池上美海
はしやぐ声プールの形に湧き上がる 片山静子
「滝」(主宰=成田一子)【1992年創刊・宮城県仙台市】
<2021年10月号(通巻357号)>
白菊や靴下うすく人悼む 成田一子
銀漢や軍艦の骨立ちあがる 石母田星人
ポスターの老ゆるジュリーへ草矢射る 遠藤玲子
鈍角に犬の吠えゐる大暑かな 斎藤伸光
香水や一番線に恋をはる 斎藤善則
恐竜展見し夜の硬き髪洗ふ 加藤信子
空港の皆異人めく終戦日 阿部元居
「橘」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2021年10月号(通巻526号)>
空どこか鳴つて降り出す送り梅雨 中山明代
急に手帳取り出す炎天下の舗道 佐怒賀由美子
水打つて足に纏はる日の匂 真保ユキ子
夏蝶へ出席葉書投函す 松井 努
三界諸天夏かまきりのなほ青む 干野風来子
潮風の来る坂道や合歓の花 花輪ゆき子
青葉木莬背中に聞いてミシン踏む 髙嶋あけみ
「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2021年11月号(通巻224号)>
パッションフルーツ忍者の如く隠し持ち 清水余人
卓上の小蟻へ指の殺意かな 細川朱雀
潮風のつるりと抜けて籐寝椅子 佐藤千恵子
背中より朽ちる音して梅雨菌 間 恵子
マニキュアに星一つのせ更衣 村上清美
撫でてみる夏草金に変はりけり 草子洗
街ぢゆうの日傘のなかのひとりきり 笠原小百合
「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2021年11月号(通巻285号)>
預かりし子を日焼子にして戻す 川手和枝
絵日記にちひさき虚栄夏休み 田中国太郎
新涼の木の香散らして鉋引く 塚本一夫
「只今」と山に一声盆帰省 前田勝洋
金剛杖のごとく自然薯持ち帰り 大内民雄
踊らぬと押し問答の末踊る 鈴木霞童
稲びかり子のラブレター見てしまふ 前川尚子
「童子」(主宰=辻桃子)【1987年創刊・東京都国立市】
<2021年11月号(通刊411号)>
現し身の開襟シャツに醤油垂れ 白井薔薇
ジョセフィーヌと名を付けられし女郎蜘蛛 西田東風
我死なばごみとなる書を曝すかな 田代草猫
新涼の鍼にぴくりと腕の筋 大野勝山
抱かれたる夢から醒めてハンモック コスモメルモ
百年の帯屋の若旦那と鱧づくし ふくしま桐里
フェンスなど掴みつまらぬ飛蝗かな 西沢 爽
「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2021年9月号(通巻82号)>
干す糸の色かがやけり秋の風 中西夕紀
隣家より月下美人の咲く知らせ 盛田恵未
炎天の目蓋を白く鶏眠る 森 有也
風とくる水鉄砲の流れ弾 高橋 亘
翡翠の日の斑を割つて水に入る 秋澤夏斗
あぢさゐや飴煮の雑魚はほろ苦く 石黒直子
わが箸は剥げても輪島豆ごはん 打木歩人
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2021年11月号(通巻936号)>
種をとるまでが宿題あさがほ伸ぶ 帯谷麗加
桃を剝く一部始終を見られをり 上田和子
新涼のジョギングの肘尖りけり 平田華子
ほほづきや伝票書くに壁つかひ 若林哲哉
秋澄むやハープの弦の赤と青 村田惠美子
駅ビルに入る図書館秋の雨 市原みお
雲高く湧けど叶はぬ子の帰省 佐伯和江
「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2021年10・11月号(通巻50号)>
父の忌の規則正しき鉦叩 柴田多鶴子
生きている証かにごる水中花 新谷壯夫
身軽さを身上として蠅虎 岩出くに男
形代の個人情報癖字なり 太田健嗣
さだかにもかすかにも風坊涼し 松本美佐子
山繭の色紡ぎたる深山かな 政元京治
かはほりや皆既月食はじまりぬ 長野順子
「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2021年11月号(通巻152号)>
虫の夜の耳中の虫も鳴きしきる 渡辺純枝
父母に長き死後あり合歓の花 森川邦子
ことことと廻る昭和の扇風機 野田栄子
ゆつたりと番する浴衣古本屋 松井吉子(*)
日の中に雨の降り出す百日紅 植村紀美子
一本の髪のはりつく極暑かな 花村秀子
畝起こす鍬に崩るゝ蟻の国 福谷龍彦
(*)「吉」の上は「土」
「ひろそ火」(主宰=木暮陶句郎)【2011年創刊・群馬県渋川市】
<2021年10月号(通巻129号)>
きらきらと曲がりて雨の穴惑 木暮陶句郎
降りしきる雨の最中の海開 代 悦子
虹走り車内一気に活気づく 宮﨑句美子
百獣の王炎帝に項垂れり 杉山 加織
神々に近き山住みはたたがみ 岩佐 晴子
凌霄花の子の夢ほどにあるつぼみ 大河原紀子
雷鳴や解けしままの靴の紐 小暮かつみ
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2021年10月号(通巻80号)>
海峡を二手に分かれ鷹渡る 千々和恵美子
太陽が押し上げてゐる鷹柱 安倍真理子
草色に疲れし子供休暇果つ 嶋田春海
秋の潮岩千畳を滑り来る 諌山恵子
端居して煩わしさを捨てさりぬ 長岡順子
地下足袋の出番間近や九月来る 鶴崎才二
銀杏を避くる大股遊歩道 久松明美
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2021年11月号(通巻1499号)>
集ふこと梅雨憂しとせぬ友ばかり 稲畑汀子
五月闇列車光の箱となる 葛原由起
鮎の川腰の高さに流れけり 笹尾清一路
黄昏の色をもらひしソーダ水 大久保 樹
万緑てふ一本道の万華鏡 中村恵美
虫干の中央に母据ゑにけり 塚本早苗
夏潮を白く拓いてゆく舳先 涌羅由美
「松の花」(主宰=松尾隆信)【1998年創刊・神奈川県平塚市】
<2021年10月号(通巻286号)>
くちびるに触れて喉へと心太 松尾隆信
てのひらへ空蝉爪をたてにけり 小瀬村都
遠雷は遠雷のまま書を閉づる 横山節子
夏祓生れ変りの一跨ぎ 木原邦彦
香水の封を切らずの半世紀 中丸しげこ
茄子畑のビニールへ雨さらさらと 伊藤真理子
ゴーヤばかりもらつてくるなお父さん 鈴木大輔
「百鳥」(主宰=大串章)【1994年創刊・千葉県鎌ケ谷市】
<2021年10月号(通巻331号)>
流星を見上げ旅籠の庭に立つ 大串章
身のうちになほ濤ありぬ昼寝覚 久保田哲子
蓮の花数千年のいのち継ぐ 鍬形ゆきこ
星涼し父の生涯知らぬまま 江坂衣代
料理店も賢治の像も梅雨に入る 菅野啓子
ゆきつきしところあをぞら蔓てまり 森田佳代子
河鹿聞く山家へ続く石の橋 原田香伯
「森の座」(代表=横澤放川)【2017年創刊・東京都文京区】
<2021年10月号>
円き泉日本のことばあをあをと 横澤放川
土用波ヒト科ヒトをばをどりぐひ 渡辺香根夫
打ち減りし魚鼓に年号樟若葉 吉次薫
転びては飛びては転ぶ雀の子 加藤仁
日曜の子等を集めて田を植うる 西村綾子
標本といはれなきがら青嵐 渡辺多佳子
洗ひ髪風にまかせて聞く葉擦れ 太田量子
「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2021年10月号>
完泳の五人にバナナ一本づつ 今井聖
Tシャツに透けて肩甲骨笑ふ 竹内宗一郎
昭和とは重工業の草いきれ 太田うさぎ
夏合宿百九十度開く脚 西澤みず季
初鰹均一に切り一人の餉 畠山尚
秋風や汽笛のやうにサキソフォン 蜂谷一人
浮世絵の目して晩夏の配達夫 藤尾ゆげ
「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2021年11月号>
くだら野や火の山神の烽火めく 増田植歌
小鳥来る朝の牛乳あたためて 西川良子
白地着て草書のやうな母白寿 田口くらら
人のあと夜の来てゐる花野かな 星出航太郎
罫線は等しき遠さ小向日葵 柊月子
野ぶだうの連珠ロザリオの連祷 坂本しづよ
真鍮の房架は月影を知らず 青山酔鳴
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2021年11月30日
*対象は原則として2021年11月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2021年12月5日
◆投稿先
以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/
【「コンゲツノハイク」のバックナンバー】
>>2021年10月の「コンゲツノハイク」(2021年9月刊行分)【34結社参加】
→→→ 2021年10月の「コンゲツノハイク」を読む
>>2021年9月の「コンゲツノハイク」(2021年8月刊行分)【34結社参加】
→→→ 2021年9月の「コンゲツノハイク」を読む
>>2021年8月の「コンゲツノハイク」(2021年7月刊行分)【28結社参加】
→→→ 2021年8月の「コンゲツノハイク」を読む
>>2021年7月の「コンゲツノハイク」(2021年6月刊行分)【32結社参加】
→→→ 2021年7月の「コンゲツノハイク」を読む
>>2021年6月の「コンゲツノハイク」(2021年5月刊行分)【33結社参加】
>>2021年5月の「コンゲツノハイク」(2021年4月刊行分)【34結社参加】
>>2021年4月の「コンゲツノハイク」(2021年3月刊行分)【27結社参加】
>>2021年3月の「コンゲツノハイク」(2021年2月刊行分)【29結社参加】
>>2021年2月の「コンゲツノハイク」(2021年1月刊行分)【21結社参加】
>>2021年1月の「コンゲツノハイク」(2020年12月刊行分)【14結社参加】
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